増税後だからお得に住宅取得 ―ユーザー版2019年秋季号より

増税後の対策 幅広く用意

 住宅を手に入れようと考えていたのに、気がついたら消費税が10%になっていたーーという人はいないだろうか。

 住宅取得で2%の違いは大きい。例えば3千万円の住宅であれば、8%時は消費税額が240万円のところ10%では、300万円。60万円の差が出る。つい消極的な気持ちになってしまうかもしれない。

 しかし実際そんな必要などまったくない。むしろ国の支援策があって、今がお得に住宅を手に入れられるチャンスなのだ。

 まず大きいのが「住宅ローン減税」。毎年の住宅ローン残高の1%が、所得税から控除されるというものだが、これまで控除期間は10年間までだったところ、13年間に延びる。消費税10%で取得した住宅に2020年12月末までに入居した場合が対象だから、今が要件に当てはまる。

 所得税からの減税ではお得感が少ない、という人も「すまい給付金」という見方がある。収入額などによって給付基礎額が異なるが、税率8%時よりも給付基礎額が引き上げられている。収入限度額も510万円以下から775万円になっているため、以前は対象外だった人も、10%時の今、すまい給付金の対象になった人もいるだろう。すまい給付金の対象となるのは、21年12月末までの引き渡しと入居が行われた住宅。なお複雑に思えるすまい給付金の給付額の計算は、国土交通省の「すまい給付金」専用ホームページで給付額のシミュレーションが行えるので、一度計算してみる価値があるだろう。

 住宅取得のための贈与税も非課税枠が拡大となっている。親などから家を建てるなどの目的で資金を受ける場合、最大3千万円までが非課税措置の適用を受けられる。これまでは最大1200万円までだったから、かなりの差だ。特に耐震性能や省エネ性能、バリアフリー性能などがある住宅で、非課税枠を最大限に活かせる。

「今だけ」の制度 住宅ポイントの活用を

 そして「次世代住宅ポイント制度」。消費税率引き上げの方針とともに報道されることが多かったので、一度は耳にしたことがあるかもしれない。まさに今しかない制度。断熱性が高かったり、劣化対策が施されているなど、より高い性能をもつ住宅を新築したりリフォームする場合に、さまざまな商品と交換できるポイントが付与されるものだ。そのうえでさらに長期優良住宅などの認定を受けられる住宅であればポイントが加算され、さらにビルトイン食洗器や浴室乾燥機、宅配ボックスといった設備を設置すれば、そのポイントも合算される。最大35万ポイント、35万円相当の商品に交換できるまでのポイントになるのだ。

 いずれも、快適にそして安全・安心に暮らすための品質の高い住宅を取得することで、制度を最大限に活用できる仕組み。安心感や住みやすさの違いは将来にわたる満足感に影響する。それをお得に手に入れられる、今がまたとない好機。

 大事なマイホームだからあわてずにじっくり検討する必要がある。そのためにも、狙った住宅が制度に該当するかなどを、ハウスメーカーや工務店の担当者に早めに相談しておくのがいいだろう。

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