「平成中村座」初の九州開催、中村勘九郎が心境の変化明かす

歌舞伎の名門・中村屋を30年以上にわたり追い続けるフジテレビ系ドキュメンタリー「密着!中村屋ファミリー」の最新作「密着!中村屋ファミリー 涙と笑いの猛稽古2019 ~勘九郎&七之助大いなる挑戦 勘太郎8歳 覚悟のひとり立ち&長三郎6歳 初の女方~」が12月20日(午後9:00)から放送される。最新作では希代の名優、父・勘三郎を亡くしながらも奮闘を続ける勘九郎&七之助兄弟、さらに“小さな中村屋”の成長と挑戦など、2019年の最後に大きな家族の感動ストーリーを届ける。

今年の中村屋は、3月には長男・勘太郎(8歳)が中村屋から1人で歌舞伎座「盛綱陣屋」に出演し、勘九郎自身も子どもの頃に演じた小四郎役を熱演。4月には、次男・長三郎(6歳)が国立劇場「雪傾城」で初めて女方に初挑戦。そして8月は、歌舞伎座・納涼歌舞伎「伽羅(めいぼく)先代萩」で七之助が“女方の最高峰”といわれる乳人(めのと)・政岡役に。そして政岡が守る幼い殿に長三郎、自身の愛息には勘太郎が出演。そして令和元年最大の挑戦となったのが、勘三郎の夢だった「平成中村座」の九州開催。11月の「平成中村座」小倉城公演は客席と一体化し、平成中村座20年の歴史上“最高”となる熱気と興奮に包まれた舞台が繰り広げられた。

「平成中村座」の九州での開催に勘九郎は「初めて中村座が九州に行く…ご当地の“小笠原騒動”という演目に、小倉祇園太鼓とのコラボレーション。あれほど喜んでいただけるとは想像してなかったです。うれしい、やってよかったと思える貴重な公演になりました」と回想。

また、長男の勘太郎が中村屋から1人で「盛綱陣屋」に出演したが、「あれは(片岡)仁左衛門のおじさまから、電話いただきまして“どうだ?”と言っていただいたんですけど、すごく悩みました。公演の出演者には、僕もいないし、七之助もいないし。でも、小四郎という役が、僕にとっても思い入れのある(91年・93年に演じた)幼い頃の憧れの役だったので」と悩みながらの決断だったことを明かし、「親の僕が言うのもなんですけど、1人で心細かったと思います。でも、やっぱり芝居が好きな気持ちは大きいなと思いました。それで何でもできちゃうんだなと。もちろん周りの皆さまが本当にサポートしてくださったのですけれど。そして、そういう気持ちを僕たちも忘れちゃいけないと思いました」と襟を正した。

さらに心境の変化もあるようで、「最近は楽しんでもらうっていうことを楽しめるようになってきたように思います。今までは100%楽しんでもらうために、130、140%の力でやるのが正解というか、そこまでやらなきゃ追いつかなかったのですが、最近は楽しめるようになってきたので、そこは大きな変化かなと思いますね。父が言っていたことが、だんだん分かるようになってきました。父は“60ぐらいでやって、100でやってるように見せる”と言っていました。そういうことができるようになりましたね。確かに、僕の最後の大詰なんて30%くらいです。息も全然切れない。余裕ができて、楽しめるようになってきました」と話している。

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