中日又吉の弟・亮文が「琉球」からNPB目指す 「横並びで競争」兄の言葉を励みに

中日の又吉克樹の兄に持つ琉球ブルーオーシャンズ・又吉亮文【写真:岩国誠】

今季は四国IL香川で最多セーブのタイトルを獲得した

 17日に選手お披露目会を行った沖縄新球団「琉球ブルーオーシャンズ」。NPB出身者9名とともに、11月6日のトライアウトを突破した19名の選手たちも登壇。その中には、中日ドラゴンズで活躍する又吉克樹投手の実弟で、今季は四国アイランドリーグ(IL)「香川オリーブガイナーズ」に所属した又吉亮文投手の姿があった。

 高校こそ違うものの、大学は兄・克樹と同じ環太平洋大学へ進学。卒業後も兄同様、四国IL・香川オリーブガイナースへ進み、NPB入りを目指した又吉亮文。香川2年目となった今季は13セーブを挙げ、最多セーブのタイトルを獲得。NPB球団へのドラフト候補に名前があがったものの、指名されることはなかった。

「香川で2年間やらせてもらって、NPBのドラフト候補に挙げていただけるところまでは来たのですが、そこからどうしても伸び切れなかったのはいかがなものなのかなと…」

 NPBドラフトの結果を受け、日々、自問自答を繰り返していた又吉亮。「もう1年続けるか。それとも野球をやめるか」。気持ちが揺れ動く中、家族や世話になったコーチからの様々なアドバイスに耳を傾ける中で、ある言葉が又吉亮の心に突き刺さった。

「『新しいところで挑戦する勇気はあるのか』と言われて、自分には飛び込む勇気というものが足りないところだと思ったんです。こういうきっかけでしか、僕自身が変われないと」

 環境を変えることで自らを変える。ちょうどその時、地元・沖縄にNPBを目指す新球団が発足。他の独立リーグ球団からの誘いもあった中、1から始まる「琉球ブルーオーシャンズ」のトライアウトに挑戦した。「ここも1年目。そこで僕も一緒に挑戦できたら」と、トライアウトを終えた直後にそう語っていた又吉亮は、見事、受験者80名のトライアウトを通過し、旗揚げメンバーに名を連ねた。

「琉球」には、今季まで兄とプレーした前中日の亀澤、杉山も入団した

 その挑戦が新たな出会いを生んだ。中日で兄・克樹の後ろを守ってきた亀澤恭平内野手と、兄のボールを受けてきた杉山翔太捕手の琉球入団が決定。兄を知る男と同じチームで戦うこととなったのだ。

「もう、プラスしかないですね。亀澤さんなんて、大学時代からおにい(又吉克)の後ろを守っていた方だったので、ここはこうじゃないかとか比べられると思うんですが、逆に比べてほしいですね。それが僕に足りないものだと思うので。NPBに行けない理由というものが、僕にはあって、兄にはなかったということなので」

 元中日の2人のほか、兄・克樹と大学の同級生で、香川でも一緒にプレーした元西武・松本直晃投手も加入。大学時代は遊撃手として、兄を見てきた松本からも、アドバイスをもらうこともできるだろう。目標とするNPBで既に結果を残している兄をよく知る先輩たちに、その兄と比較されることで、NPB行きへ自らに欠けている何かを得ようという又吉亮。その瞳はキラキラと輝いていた。

「兄から、叱咤激励ではないですが『頑張れよ』と。ただ『横並びで競争だぞ』とも言われました。チームとしてNPBを目指しますが、チームメートには負けたくないという気持ちは持っていたいと思います」

 兄の背中を追うように、環太平洋大から香川と同じ道を歩んできた又吉亮文。ここからは兄をよく知る先輩たちと共に、自身とそして新球団のNPB入りへと挑戦していく。(岩国誠 / Makoto Iwakuni)

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