敬老パス利用者「相応の負担」を 横浜市の分科会が答申案 ICカード化も検討

横浜市営バス

 年額の負担金だけでバスや電車を利用できる、横浜市の「敬老特別乗車証(敬老パス)制度」の見直しを検討してきた専門分科会は18日、答申案をまとめた。現行制度を維持する一方、利用者に「相応の負担」を求め、利用実態を正確に把握するためにICカード化も検討すべきとした。

 分科会は答申案で、バス事業者の負担軽減が急務と指摘。市費も際限なく増大し続ける制度は「望ましいものとは言えない」とした。年額で平均5千円弱、月額で平均400円程度の利用者負担は「現状は過小と言わざるを得ず、相応の負担を求めるべき」と言及した。

 70歳以上の希望者とする対象年齢や、利用できる交通機関(市営地下鉄、路線バス、金沢シーサイドライン)は現行通りとし、高所得者を除外するのは高齢者の社会参加を支援するという制度の目的に照らすと適当ではないと結論づけた。

 一方、利用料金の徴収方法は現行のフリーパス、利用上限設定、都度払いの三つの方式を列挙。他自治体の例を踏まえ、それぞれの利点や課題を挙げたが、結論は示さなかった。

 終了後、分科会会長を務めた山﨑泰彦県立保健福祉大学名誉教授は「すっきりとした答申にはならなかったが、市長が判断するのに最低限必要な情報を提供した」と総括。市が54億円以上と試算するICカード化については「費用や時間がかかるなら、(市、事業者、利用者の)三者が負担を分かち合うしかない」との持論も述べた。分科会は近く、市に答申する。

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