会派と政党ってどう違う?統一会派と政党合流の違いとは

自民党や立憲民主党など日本にはさまざまな政党があります。立花孝志氏が率いる「NHKから国民を守る党」や、山本太郎氏が率いる「れいわ新選組」が7月に行われた参院選で政党要件を満たしたことは記憶に新しいですが、議会では「会派」という別のくくりのグループがあります。

立憲民主党と国民民主党が政党合流に向けた協議に入るという合意が両党の間で先日ありましたが、両党は既に衆議院・参議院の両方で同じ会派を組んでいます。政党と会派とはいったい何が違うのでしょうか?

政党として認められる条件とは?

衆参議員選挙の比例区に候補者を立てられたり、政党交付金が受け取れたりする「政党」になる基準の「政党要件」。

政治資金規正法や公職選挙法上では、
(1)国会議員5人以上
(2)直近の衆院選か参院選で2%以上得票する
のいずれかを満たす必要があります。

政党助成法によると、直近の参院選でなくともその前の参院選で2%以上得票していて、国会議員が1人以上いれば、政党交付金を受け取ることができます。

政党として認められるとなにが違う?

政党として認められると、様々なメリットがあります。1つ目は、政党交付金が受け取れること。政党交付金とは、国から各政党に支給される党としての活動を支えるお金のことです。政党交付金の総額は、今年はおよそ318億円で、各政党の議員数、または国政選挙の得票率に応じて分けられます。

各党への配分を試算すると、自民党が最も多い178億9400万円、立憲民主党が去年より17%増えて32億3000万円、国民民主党が54億600万円となりました。

また、政党になると、個人からだけでなく企業・団体からの寄付も受け付けられることになるので、より広くお金を集めることができるようになります。

メリットの2つ目は、選挙運動上での優遇です。

政党になると、選挙カーやポスター、はがきなども広く活用することができます。また、テレビの党首討論会などが行われる際には、党首として討論会に参加することができるなど、メディアでの活動の機会も大幅に増えます。

衆議院選挙でも、小選挙区と比例代表で重複立候補ができるようになり、また、小選挙区での候補者は政見放送に出られるなど、選挙運動上での優遇は大きいです。

会派とは?政党とどう違う?

会派とは、国会で議員が活動するグループで、2人以上の議員で結成することができます。

通常、同じ政党に所属する議員で構成されますが、政党に所属していない議員同士で会派を組んだり、複数の政党で一つの会派を構成したりすることもあります。

国会では、会派に所属する議員の数によって、質疑する時間の割り当て、どの委員会に所属できるか、委員会の運営にかかわる委員長や理事などの役職につけるかどうかが決まります。会派の議員数は、国会運営に関わるうえで非常に重要です。

現在の衆議院の会派は、「自由民主党・無所属の会」「立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム」「公明党」「日本共産党」「日本維新の会」「希望の党」があり、参議院の会派は「自由民主党・国民の声」「立憲・国民.新緑風会・社民」「公明党」「日本維新の会」「日本共産党」「沖縄の風」「れいわ新選組」「碧水会」となっています。(2019年12月19日時点)

会派は、あくまで国会内の活動でのグループであり、政党は国会外での活動や選挙活動にもかかわってくるということになります。つまり、同じ会派の議員でも、政党が違えば選挙では一緒に活動しないこともあるということです。

政党と会派、通常はほぼ同じメンバーで構成されますが、違う政党の議員たちが同じ会派を組む場合、なぜそのような選択になったのか考えてみると、おもしろいことがわかるかもしれません。

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