長崎スポーツ この1年 長崎県スポーツ史 平成版発刊 新時代の道しるべに

31年間の軌跡をたどった長崎県スポーツ史平成版

 2014(平成26)年10月に行われた長崎がんばらんば国体。開催県の重圧を乗り越え、長崎は悲願の天皇杯(男女総合)を獲得した。「やればできるという言葉を実感した」。長崎県体育協会の荒木健治理事長は感慨深げに振り返る。
 台風の影響で実施が危ぶまれた総合開会式が「奇跡的に晴れて」(荒木理事長)、盛大に行われたことも心に残る。前年優勝の東京など力のある大都市と渡り合い、勝ち取った栄光。平成の県スポーツシーンの中で、ハイライトの一つだ。
 「長崎県スポーツ史平成版」が今秋、発刊された。長崎新聞社創刊130周年を記念して、運動部の城知哲部長、八田智佳子記者を中心に編さん。31年間のトピックを年別に網羅した。裏話もコラムで紹介。記録集では県高総体の全競技の上位成績などを掲載している。
 平成は若い力が全国の舞台で躍動した。1989(平成元)年四国インターハイバレーボール女子の九州文化学園高の初優勝から始まり、2001(平成13)年にはサッカーの国見高が高校3冠を達成。03(平成15)年の長崎インターハイはバレーボールの大村工高、九州文化学園高が男女Vを飾った。このほか、剣道、ソフトボール、ハンドボール、駅伝、高校野球…。指導者の情熱と選手たちのひたむきな努力が実り、数々の競技で日本一をつかんだ。
 その半面、国体の天皇杯順位は浮き沈みが大きく、1997(平成9)年の大阪大会では最下位の悔しさも味わった。県内に有力選手の「受け皿」が少ない現状がもどかしい。
 県スポーツ史では、長崎国体での官民一体の取り組みを紹介。県教委体育保健課の松崎耕士課長は「各競技団体からヒアリングをして、連携を密にしている。チーム長崎でまとまった長崎国体の遺産をしっかりと受け継いでいきたい」と競技力向上へ決意を語る。
 感動と勇気。令和の世に、西の果てからスポーツの魅力を発信し続ける。「この本がきっと、新時代の道しるべになる」。荒木理事長は言葉に力を込めた。

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