JR代々木駅まで直線距離で150m程なのに閑静【駅ぶら01】小田急線50

参宮橋駅は、新宿副都心ビル群の南側、明治神宮の北西の隣に位置しています。沿線に住宅が多いコトが意外で驚きます。正に参宮橋の下をくぐります。

でも視線を上げると新宿のビルが目に入ります。1945年(昭和20年)に休止され、そのまま廃止となった山谷駅があったのはこの辺りでしょうか。台東区にある歴史的ドヤ街と同じ地名なんですね。明治の日本画家、菱田春草(1874-1911)が住んだのもこの辺り、代表作「落ち葉」は当時郊外だった代々木の雑木林を描いたものだそうです。

余談ですが「武蔵野」(1901)を書いた国木田独歩が住んでいた武蔵野は渋谷、現在のNHK放送センターの辺りだったのです。現状が信じられない素朴な里と雑木林の風情を描いています。深大植物園の一角に「武蔵野の雑木林」が保存されているので、近くに住んでいた頃は時々蕎麦を食べに行ったついでに眺めていました。

南新宿駅が見えました。手前で保線作業が行われています。

参宮橋駅から0.7kmで南新宿駅。相対式ホーム2面2線、跨線橋のない小田急線の地上駅は珍しいかな。1973年(昭和48年)に現在地に駅が移設される以前は150mくらい新宿寄りに南新宿駅があったのですが、残念ながら記憶にないです。その頃の自宅が井の頭線久我山駅だったのでふだんは吉祥寺駅、タマに渋谷駅に行くくらいでした。新宿にはヨドバシカメラに写真用品を買いに来ていましたが明大前乗換で京王線を利用していました。小田急線を使う理由がほとんどなかったのです。

上りホーム手前にある表示板、表示が停車に替わりました。こんな仕掛け、小田急線では初めて見たかも・・・。地上駅に見えますが、改札口は新宿駅寄りのホーム下、地上に出入口があります。

新宿駅まで前面展望を撮った後、下り各駅停車で南新宿駅に来ました。下りホーム、新宿方面を観ています。南新宿駅、JR代々木駅まで直線距離で150mくらいしか離れていないのですが、駅周囲の道が細くて近道できないので時間が少しかかります。そんな繁華な場所の傍とは思えない程閑静です。

乗って来た各駅停車本厚木行が出てゆきました。10両編成対応でホームは長いです。

駅名標。1927年(昭和2年)千駄ヶ谷新田駅として開業。1937年(昭和12年)小田急本社前駅に改称されますが、戦時中の私鉄統合で東京急行電鉄(大東急)になったため南新宿駅に改称。1945年(昭和20年)空襲で旧本社と新宿駅甲州街道口が焼失。一時的に終着駅になりました。

1973年(昭和48年)現在地に移設。

改札口はホーム下に降ります。地上レベルです。この辺りの地形が複雑なのですね。

駅出入口。

上は小田急線の高架になっています。

もう少し新宿側に行くと踏切がありますから、駅の周囲が谷戸(谷状の地形)になっているのでしょう。

次は終点の新宿駅です。【駅ぶら01】小田急線51 に続きます。

(写真・記事/住田至朗)

「【駅ぶら01】小田急江ノ島線」一覧

© 株式会社エキスプレス