元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーは、ルイス・ハミルトン(メルセデス)はF1を引退する前に、究極のF1の夢を実現してフェラーリに加入するチャンスを掴むべきだと述べている。
「キャリアのなかで一度はフェラーリでドライブするチャンスを掴むことを、他のどのドライバーでもなく、私はルイスに勧める」と今週ベルガーは『Guardian』紙に語った。
オーストリア出身で現在60歳でベルガーは、1984年の第12戦オーストリアGP、つまり母国レースでF1デビューを飾った。ベルガーは1987年から1989年までフェラーリに在籍し、マクラーレンへ移籍。その後1993年から1995年まで再びフェラーリで戦った。
「それは並外れた経験だ。私はイタリアの精神性やブランドを気に入ったし、ルイスもそうなると思う」
「フェラーリでドライブすると、大変に感情をかきたてられる。冷静なドライバーもいれば、とても感動するドライバーもいるだろう。私はとてもフェラーリが好きだったから、大いに影響を受けたよ」
「ほとんどのドライバーがフェラーリに憧れている。だが良いタイミングを選ばなければならない」
ハミルトンは、2020年末までメルセデスとの契約下にあるが、ベルガーは、ハミルトンが2021年にフェラーリに移籍するのは早すぎると主張している。
ハミルトンが2020年に7度のF1世界チャンピオンになると仮定すると、彼はミハエル・シューマッハーの記録に並ぶことになるが、F1史上最も偉大なドライバーになるためには、あともう1回タイトルを取ることが必要になるだろう。
タイトルと同様に、ハミルトンがシューマッハーの91勝の記録と並ぶためには、あと7勝する必要がある。ポールポジションについては、ハミルトンはすでに88回獲得しており、シューマッハーの68回の記録をだいぶ前に抜いている。
ベルガーは、ハミルトンはやり残された記録を達成して歴史に名を残すようにしてから、フェラーリの夢を追うべきだと考えている。
「私は彼がフェラーリに行くべきだと思うが、それは彼が記録をすべて塗り替えた後にすべきだ。移籍前にそうしておけば十分だ」
「(メルセデスでは)彼の周りにはあのように素晴らしいチームがいる。勝てるチームを離れることはない。だから今は移籍するのに良いタイミングではないだろう」
■イタリアメディアもハミルトンを称賛
ハミルトンの将来は、F1のパドックで行われている2020年に向けた議論を独占しているようだ。フェラーリは、すでにハミルトンと非公式の話し合いをしたことを認めている。
イタリアのメディアは、通常はフェラーリの運命にのみ注意を払っているが、いつもと違ってこの数カ月はハミルトンに多大な称賛を送っている。ハミルトンのメキシコGPでの勝利は、『スピードと技術の最高傑作』と表現され、彼自身は『巨匠』と称された。フェラーリ以外のチームにいる非イタリア人について彼らが語るのは稀なことだ。
メルセデスのチーム代表を務めるトト・ウォルフは、将来的にハミルトンがフェラーリへ移籍する可能性があることを認めてはいるが、75%の確率で彼がメルセデスに残るだろうとも述べている。
しかしながら、元F1チームオーナーで現在はテレビで評論家を務めるエディー・ジョーダンは、ハミルトンは現在の契約が終了したらフェラーリへ移籍すると“確信”しており、ウォルフもハミルトンについていく可能性があると考えている。
一方ハミルトンは自身の判断について、ウォルフがメルセデスに残るか、F1で新たな役割を引き受けるかによって、かなりの部分で影響を受けることを認めている。
2021年の新レギュレーション導入によって、ハミルトンはメルセデスとの契約を1年延長することに合意することもあり得る。そうなるとハミルトンの選択肢は2022年に広がることになるが、F1で未達成の記録については、それまでにやり遂げられていることだろう。