メクル第424号 見てみて!おしごと 看護師・稲田優子さん 患者の心に寄り添う

笑顔で患者と接する稲田さん=大村市、貞松病院

 長崎県内にはさまざまな病院があり、多くの看護師(かんごし)が働いています。人の命、健康に関わる仕事で、責任(せきにん)は重大です。みな国家試験などに合格(ごうかく)して看護師免許(めんきょ)を持っています。私(わたし)は、大村市東本町にある貞松(さだまつ)病院の入院病棟(びょうとう)で働いています。
 病院や診療科(しんりょうか)ごとに看護師の仕事内容(ないよう)は異(こと)なりますが、保健師(ほけんし)助産師看護師法という法律(ほうりつ)に定められた患者(かんじゃ)さんのケアと医師(いし)の治療(ちりょう)などの補助(ほじょ)という二つの柱は共通しています。

 ■あっという間に

 貞松病院は整形外科など六つの診療科目があり、看護師65人、准(じゅん)看護師7人が勤務(きんむ)。私が勤務しているのは急性期一般(きゅうせいきいっぱん)病棟で、手術(しゅじゅつ)前後の患者さんのためのベッドが40あります。患者さんは転倒(てんとう)して腕(うで)を骨折(こっせつ)した高齢者(こうれいしゃ)や、スポーツで膝(ひざ)をけがした若者(わかもの)などさまざまです。
 例えば、手術の後、麻酔(ますい)が切れると患者さんは痛(いた)みを訴(うった)えます。医師(いし)の指示(しじ)を受けて痛みを抑(おさ)える薬を患者さんに飲んでもらいますが、その際(さい)は間隔(かんかく)や量などを守らなければなりません。患者さんの意識(いしき)を痛みからそらすことも必要です。
 各病室を回り、血圧(けつあつ)、体温、脈拍(みゃくはく)を測定(そくてい)。食事の量、尿(にょう)や便の回数、しびれがあるかないかなども電子カルテに入力します。注(ちゅう)射(しゃ)、点滴(てんてき)、採血(さいけつ)のほか、食事、入浴、排(はい)せつの介助(かいじょ)など身の回りのお世話もします。患者さんをベッドから車いすに移動(いどう)させるのはとても体力を使います。
 夜勤(やきん)もありますが、自宅(じたく)に5歳(さい)の子どもがいるので回数を減(へ)らしてもらっています。夜間は限(かぎ)られた人数でナースコールなどに対応(たいおう)しなければならず、神経(しんけい)をとがらせています。
 毎日忙(いそが)しく、あっという間に時間が過(す)ぎていきます。でも、看護師同士が仲良しでチームワークを発(はっ)揮(き)。職場(しょくば)はとても居心地(いごこち)が良いです。

 ■全国どこででも

 佐賀(さが)県嬉野(うれしの)市出身。看護師になりたいと思っていた小学4年のころ、胃腸炎(いちょうえん)で数日間入院したとき、一人で寂(さび)しくて泣いていると、看護師さんが「どうしたの」とお母さんの代わりに寄(よ)り添(そ)ってくれました。そのとき、看護師になりたい気持ちが、より一層(いっそう)強くなりました。
 高校卒業後、奈良(なら)県内の看護専門(せんもん)学校で3年間勉強し、看護師免許を取得。その後、奈良県内の病院に10年間勤務しました。夫婦(ふうふ)とも九州出身だったことから大村市に引っ越(こ)し、昨年9月から貞松病院に勤務しています。看護師は専門職(しょく)。全国どこででも働くことができるのが強みです。

 ■笑顔であいさつ

 病院は日常(にちじょう)とは異なる空間。患者さんには不安、恐怖(きょうふ)、いらだちもあります。感情(かんじょう)を看護師にぶつける人もいます。心掛(が)けているのは、言動や表情(ひょうじょう)などから患者さんをしっかり把握(はあく)し、心に寄り添うことです。そのために笑顔であいさつし、積極的に会話しています。
 仕事の喜びは、患者さんの回復(かいふく)が目に見えて分かるときです。退院(たいいん)時などに、患者さんと家族から感謝(かんしゃ)の言葉をいただくのは、とてもうれしいです。看護師でいる以上、健康でなければなりません。私の名前は優子(ゆうこ)。優(やさ)しくて、信頼(しんらい)される看護師として定年まで働くことが目標です。

ノートパソコンで入力する患者の電子カルテは医師や看護師らで共有しています
ナースセンターで同僚(どうりょう)と打ち合わせする稲田さん(左から2人目)
病室を回るときに身に着けるバッグには体温計、血圧測定器、殺菌・消毒剤、聴診器、はさみなど必要なものがたくさん入っています

© 株式会社長崎新聞社