なんて恐ろしい……(写真はイメージです)
胆石による痛みはそれはもう耐え難いものですが、出てきた胆石の数が861個というんですから激痛は並外れたものだったものだったに違いありません。
タイで腕利きの男性医師が自身の執刀した胆石患者のそんな世界的にも珍しい症例をフェイスブックに投稿し、現地で話題になっています。
問題の患者は35歳の女性。医師が3日間で胆石の手術をした6人の患者のうちの1人でした。他の5人がいずれも50歳以上だった中でのこの若さに加えて、症状が一般的な胆石と異なっていたために、もし胆石の可能性を考えていなかったら誤診していた可能性があったと医師は語っています。
女性患者の症状は、左胸から背中にかけて激痛が走り、胸に圧迫感があって呼吸を深くできないというものでした。嘔吐もあり、食事をしても安静にしていても痛みがあることから市販の痛み止め薬を服用したところ一時的に症状が軽くなりました。しかしその後激痛がさらにひどくなったために発症後5日目にして病院の救急受付に運び込まれたのでした。
救急医療チームは症状から心臓疾患を疑って検査したものの、血圧、脈拍、虚血性心疾患の有無を調べる血液検査のいずれも正常でした。念のため入院させて胃酸分泌抑制剤と抗不安薬を与えたところ、症状は良くなったものお腹が張りと食欲のない点がなおも改善されなかったのです。
そこで腹部のエコー検査をしてみたら、胆のうにおびただしい数の結石が見つかったのでした。
医師は患者本人と家族に胆石で手術が必要だと説明したのですが、患者の女性は自分が胆石だとその時は信じませんでした。しかし4か月後にこうやって手術を受けたということは激痛も我慢の限度を超えて信じざるを得なくなったのでしょう。
そしてようやく手術。医師による腹腔鏡手術によって摘出された15センチに腫れた胆のうからは、大小合わせて861個の黒い胆石が出てきたのです。手術経験の長いこの医師にとっても35歳という若さでのこの多さは初めての経験でした。
胆石は胆汁中に溶けているコレステロールやビリルビンなどの物質が胆汁中に溶け切れなくなり、結晶になったものです。胆石ができる様々な要因のうちで気になるのは、
1.肥満による胆嚢収縮機能の低下のため
2.急激なダイエットによって体内で脂肪を多く分解しすぎたため
の2つです。
本サイト副編集長も胆石で激痛に苦しんだ経験のある一人です。数は10個だけでしたがそれでも激痛だったとか。背中や腰に鈍痛が走り、とくに脂っこい物を食べた後には脂汗が出て数時間動けないほどでした。861個もあってこの女性よく何か月も耐えられたものです。
胆石でそんな痛い思いをしないためにも、日頃から体重管理とコレステロールの摂りすぎに注意しておいたほうが良いのかもしれません。(取材・文◎赤熊賢)
タイトル画像は、acworksさんによる写真ACからの写真