高田中生徒が“株式会社” 学校産の梅干し販売 1年生62人が起業体験

出資者(左)に株券を手渡す生徒たち=長与町、高田中

 西彼長与町立高田中(今井正志校長)の1年生62人が、キャリア教育の一環として同校産の梅干しを販売する“株式会社”を設立した。会社説明会で出資を募ったところ、地域の人や保護者ら約100人が賛同。出資金を得た生徒たちは来年の販売を目指し会社運営に取り組む。
 本年度から2年間、県教委の「ふるさとを活性化するキャリア教育充実事業」の研究指定を受け、総合的な学習の時間に準備を進めてきた。従来の職場体験とは異なり、生徒自ら会社を運営し、起業を体験する。
 生徒たちは学習の中で、地域を元気にするためにできることを話し合い「自分たちが将来地元で働くこと、長与で企業を興すこと」に着目。一方、同校では毎年1年生が学校の梅を収穫し、地域の人に習って梅干しを漬けている。例年9月の学校祭で配っているが、これを会社の商品として販売しようと考えた。
 社名は「地域(高田地区)に貢献したい」の意味を込め、株式会社「高献(こうけん)」。社長は置かず、経営企画、経理、広報、商品の4部署を設けた。13日に同校で開いた会社説明会では地域の人を前に生徒たちが会社設立の目的、経営理念、商品へのこだわり、予算などを説明。利益の一部は「横断歩道の黄旗購入」など地域のために使うと発表した。出資の呼び掛けに、賛同した97人が1株500円の株券を1枚ずつ購入した。株主には自社商品(梅製品)を贈る形で還元する。
 今後は梅製品を作る新1年生への説明、学校祭での販売、決算、株主総会などが待ち受ける。同社経営企画部の樫本良太さん(13)は「いろんな意見をまとめるのは大変」と、早くも経営の難しさを実感。同部の海端優華さん(12)も「できることをやって、地域に喜んでもらえたらうれしい」と話した。
 株主は「取り組みが斬新」「応援したい」と協力的で、長崎市内の女性(79)は「以前梅干しを試食したらとてもおいしかった。配当が楽しみ」と期待していた。

高田中1年生が今年作った梅干し

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