長崎大学生がアプリ開発 QRコードで屋内案内

QRコードを利用した室内案内アプリを開発した岸本さん(左)と和田さん=長崎大工学部

 長崎大の学生3人が、QRコードを活用して建物内の目的の部屋まで案内するスマートフォンアプリを開発した。名付けて「Quest touR(クエストツアー)」。「実用的になりそう」(同大大学院工学研究科の小林透教授)と期待される出来で、11月末に富山市であった第17回学生ものづくり・アイディアコンテスト(長崎大、新潟大、富山大の各工学部が主催)では最優秀賞に輝いた。
 学生が課題解決に取り組む同大の授業「創成プロジェクト」で、同研究科1年の岸本友太さん(22)、工学部4年の和田知也さん(22)、同1年の横山瑛士さん(19)の3人が4月から約8カ月かけて開発した。
 建物内の情報が入ったQRコードを入り口に掲示し、スマホのアプリに行きたい部屋を登録してQRコードを読み込むと、現在地の前後左右4方向の写真と地図が表示され、進むべき方向の写真に矢印が示される仕組みだ。目的地が4階の場合は「エレベーターを使って4階へ」などと指示。分岐点にあるQRコードを読み込んで進むことで、初めて訪れた場所でも迷わず目的の部屋にたどり着くことができる。
 開発に当たっては、来年4月に研究開発拠点を長崎市に新設する産業機器メーカー、デンソーウェーブ(愛知県阿久比町)がサポート。3人は当初、観光案内アプリの開発を進めたが、利便性で「グーグルマップ」など既存アプリを超えることができなかった。「自分たちが困っていることはなんだろう」と再検討。既存アプリでは目的の施設まではたどり着けるが、その先の案内はないことに気づき、「初めて訪れる施設の特定の部屋まで案内してくれるものをつくろう」と方向転回し、完成させた。
 情報を盛り込んだQRコードを張るだけで、多額の初期投資や補修も不要という手軽さも魅力。リーダーの岸本さんは「基礎はできたが、理想像にはまだ達していない。拡張現実(AR)を使ってキャラクターに案内させるなど改良し、実用化できれば」と笑顔で話した。

写真と地図で目的の部屋へ案内する「Quest touR」の画面

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