寒い夜には

 ふかふかの肉まん、ぐつぐつ煮えたおでん、シチューにお鍋。皆さんの“冬の定番”は何だろう。どうやら暖冬らしいと聞くこの冬だが、寒い夜には温かいメニューがうれしい▲そこに「科学」と「経済」が加わるとこんな話に…と教えてくれたのはこの欄のお隣さん、天気図の情報提供元でもある日本気象協会の藏田英之九州支社長。「気象データを活用した商品需要予測」の研究が進んでいるという▲「メーカーの生産計画は、前年の実績とか担当者の勘や経験で立案されますよね。でも、最近では、1年前と全く違う気象傾向が起きることも多くて、変動を読み違えると在庫の山が…ということが起きるんです」。ふむふむ▲予測の精度が上がれば、企業にとっては利益の最大化につながり、食品ロスも削減できる-と藏田氏。実際の気温では読み切れない消費者心理の変化につながる「体感気温」の分析にも取り組む▲異常気象と食品ロスは互いが原因であり、結果であるらしい。〈…食品が無駄になるだけでなく製造、運搬、保存、販売、廃棄に使われた自然資源やCO2も無駄に…〉▲食品ロスの削減は、地球温暖化の軽減にもつながる-と同協会のリポートが力説する。細かな理解はさておき、食いしん坊もお役に立てそうな環境への貢献。お箸が進む。(智)

© 株式会社長崎新聞社