本牧の海づり施設が暫定的に再開へ 2020年の年明け

再開に向けて、被災した護岸の仮復旧が進む横浜港シンボルタワー=横浜港・本牧ふ頭

 台風15号、19号で深刻な被害を受け、3カ月にわたり営業を休止している横浜港・本牧ふ頭の市民利用施設「本牧海づり施設」(横浜市中区)と「横浜港シンボルタワー」(同区)は、2020年の年明けにも暫定的に再開する。太公望に人気のスポットと港の安全を守る拠点は同じ護岸沿いに位置している。市は来年の台風シーズン前までに倒壊した護岸の修復をおおむね終える方針で、本牧ふ頭の本格復旧に向けて動き始めた。

 本牧海づり施設は15号の高波を受けて管理棟や駐車場、トイレなどの施設が大破。コンクリート造の護岸が所々で倒壊するなどの被害が出た。

 市は、施設近くの護岸のうち、長さ約300メートルを臨時の釣り場として活用できるようにして暫定的な再開を目指す。海中に落下した桟橋の一部(長さ約100メートル、幅約3メートル)の引き揚げと再設置を進め、本格復旧を急ぐことにしている。今後は仮設の管理棟やトイレなどを整備し、「再開の日程が正式に決まれば改めて発表する」(市の担当者)としている。

 海づり施設は市内に3カ所あり、磯子海づり施設(同市磯子区)と大黒海づり施設(同市鶴見区)は相次ぐ台風で被災したが、いずれも既に営業を再開。本牧での復活を求める声が市に寄せられていた。

 一方、横浜港に出入りする船への信号所と市民の展望施設を兼ね備えた横浜港シンボルタワーでは護岸が広範囲に倒壊。駐車場に続く道路や緑地が広範囲にわたって一時浸水したほか、樹木が波で倒され、がれきが散乱するなど甚大な被害を受けた。信号所の電気設備やエレベーターなどは被害を免れた。

 市は19年度の補正予算案に港湾施設の復旧事業費として35億8700万円を計上。本牧ふ頭では、本牧海づり施設から横浜港シンボルタワーにかけての護岸(長さ約1860メートル)を対象に、既存の護岸から約1メートルをかさ上げして補強するとともに、波しぶきを防ぎ排水するための板を護岸上に設置する。

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