【水八寿裕コラム】2019年のふりかえりと2020年への展望

 令和元年も年の瀬になり、皆さま慌ただしい毎日を過ごされているかと存じます。あれこれ私個人もバタバタしましてあっという間の1年だったような感じです。

そんなわけで?今年の3大ニュースについて独断と偏見で選んでみました。

薬剤師水の独断で選ぶ個人的な3大ニュース

1位 薬機法および薬剤師法が改正される

2位 日本初イベント「薬歴(やくれき」フェス」の開催

3位 年初に母が旅立ちました

1位

薬機法改正がもたらす薬剤師と薬局スタッフの行動革命

 法律を改正してまで行わなければならないなんて、ちょっとどうなの?と思っている方も多いかもしれません。

薬局の仕事の定義を変えなさい。働き方を変えなさい。変らなければ月に代わっておしおきよ!

…という状況であることが想像できます。そこまでバカにされているのだと思うと情けなくなってしまいます。

 またいよいよオンライン服薬指導がスタートしそうですが、これもちょっとハードルが高そうですね。要件としての「かかりつけ」とか正直いらないと思っていまして、Uberお薬みたいな配送業者とセットで仕事が完結できればそれで充分であろうと思います。

 その他地味に、添付文書の電子化も法案が通りましたが、実はこれは海外で行われている「箱出し調剤」の到来を見据えて行われたのではないかと邪推しています。1錠単位で払い出しをしているのは世界の中で英国と日本だけです。英国は1回の薬剤の交付は定額料金ですが、日本の場合は1錠とか1cc単位とかで金額計算しているという世界でも稀な緻密さを要求される仕事をあの数分間で行っているわけでして・・・

2位

8月に薬歴(やくれき)フェスを開催しました

 薬機法改正のインパクトの影響を考えると言う意味で、薬剤師の医療記録「薬歴」に焦点を当てた2日間にわたるイベントを開催しました。やや不完全燃焼気味でありつつも無事終了しました。前夜祭ではフェスを意識した設定で、ライブあり屋台ありクイズ大会なんでもありの曼荼羅的な感じで運営を試みましたが、一部の参加者からは強い支持を頂くも、ごく普通の薬剤師ですが・・・という方にとってはあまり楽しんで頂けなかったかもしれませんね。

 2日目はシンポジウム的な企画で非常に盛り上がりました。印象に残ったシンポジウムでの質問は処方箋に「病名」はあった方が良い?無い方が良い?のような提案が出て、フロアの皆さんの意見は賛成・反対がほぼ拮抗していたという結果でしたね。自分の企画力や集客力を過大に見積もっていたのも反省材料ですが、もっと時間をかけて丁寧に計画することの重要性を感じた次第です。

3

1月に母が亡くなりました

 こればっかりは自分の意思ではなんともならない件でしょうか。83歳は若いのかそうではないのか。様々なご意見もあるかと思います。軽度の認知症を発症していて、ほぼ一人で暮らしていくにも限界があったかと感じてはいましたが、総じて母は自分らしさを貫いた人生だったと思います。

 母は父と祖母の病気の看病で20年以上自分自身の時間を捧げています。自分の時間ってあったのだろうかと思いつつ、残していったアルバムの中に楽しそうな瞬間もあったことが分かり、最終的にはバランスはとれていたのではないだろうか、辛い時もあれば楽しいこともまたやってくる、健康であるうちにいろいろなことにチャレンジしていこうという、そんなことを教訓として得た気がします。

 

 恒例ですが、年末年始は医療機関が特に混雑しますので早めの対応をお願いします。お薬手帳は必ずお持ちください。なお12月30日にはコミケにサークル参加していますので(南ハ05a)、「薬剤師通信」を発見してくださいね。

では良いお年をお迎えください。

水 八寿裕

ふくろうメディカル代表・株式会社実務薬学総合研究所 薬剤師 東京理科大学薬学部 臨床准教授 1968年福島県郡山市生まれ。1990年東京理科大学薬学部に入学、大学院修了(薬学研究科修士)。武田薬品工業でMRとして勤務。その後薬剤師(薬局・大学病院・診療所)人材会社を経て現職。
※ふくろうメディカル:個人事業で医療関連の著作・研修資料作成などを行なっています。

© 合同会社ソシオタンク