わがまち回顧 雲仙支局 観光客減少「非常事態」

観光戦略について議論する策定委メンバー=11月27日、雲仙市小浜町、やまびこ会館

 「非常事態」-。雲仙市の観光客数の落ち込みを、市幹部はこう表現した。今もこれ以上に適当な言葉が見つからない。4年連続で減少した観光客数は285万2千人で、新市発足以降、初めて300万人を割った。
 現状を打破するため、雲仙温泉街を中心とした観光戦略を策定する方針が春先から示されていた。しかし、今秋になってようやく策定委の初会合が開かれた。非常事態と言う割には初動が遅い。
 会合では「顧客満足度が重要」「客単価を上げる工夫を」など、「人数よりも」的な意見に違和感を覚えた。衰退する観光地がそれを言っても、現実逃避に聞こえてしまう。減った原因を徹底的に分析することが、満足度向上への足掛かりになるのではないか。むちゃを言うようだが客足、客単価、満足度、すべて欲張ってほしい。
 委員には地元住民のほか民間企業や国、県も参加し、熱を帯びる議論からは戦略に懸ける本気度がうかがえる。3カ年をかけて策定する戦略は、同温泉街復活の道しるべでもある。将来的には島原半島、県全体の活性化にもつながっていくだろう。官民一体となって知恵を出し合い、非常事態を乗り切ってほしい。

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