FIAのジャン・トッド会長の息子であり、シャルル・ルクレールをフェラーリ加入へ導いた立役者であるマネージャーのニコラス・トッドは、ルクレールのことを非常に誇りに思っているという。
12月23日、フェラーリはルクレールと新たに5年間の契約を交わしたことを発表し、2度のグランプリ優勝経験者であるルクレールのフェラーリにおける将来は2024年末まで保証された。
元F1ドライバーのフェリペ・マッサやダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)らのキャリアのマネージメントを経験しているトッドは、現在FIA-F2に参戦しているARTグランプリの共同創設者でもある。トッドは、カート時代からルクレールに関心を持ち見守っていたが、ルクレールの資金が枯渇したときに介入した。
「私はシャルルが14歳のときに契約した」とトッドは『Motorsport-Magazin』に語った。
「彼はカートをやめるべきだった。資金がなくなっていたのだ。しかし、私は彼を助けることにした」
「私は数年前にフェラーリに彼を紹介したが、今日では彼はフェラーリのドライバーだ。彼がただ紹介されたからフェラーリのドライバーになれたとは誰も言えないだろう。我々がやるべき仕事をやったから、彼はフェラーリにいるのだ」
「私にとって、シャルルのような人物は大きな誇りだ。彼はフェラーリに行き、結果を出しているという事実がある」
ルクレールのケースで強調されるのは、投資や資金の回収が間に合うように、早い時期に若い才能の可能性に気づくマネージャーの必要性だ。
2003年に設立されたトッドの会社『All Road Management』は定期的にジュニアランクのカテゴリーでスカウトを行なっており、現在も何人かの前途有望な若い才能の持ち主たちを抱えている。
トッドはマネージメントをしている若手ドライバーたちに自らの資金を投じていることを明かし、「将来のスターに投資し、彼らの夢を実現することが好きなんだ」と述べた。
「そうしたやり方をしているマネージャーは私だけだ。それが私の特徴なのだ」
「これをやらなければいけない、あれもやらなければいけない、と言うのは簡単だ。自分のお金でなければ、『この家を買いなさい』とアドバイスできる」
「しかし『この家を買って、折半しよう』と言うだろうか? それはまったく異なることだ。もし私が誰かを信じたら、私は投資をする」
「もちろん、私は助けになるスポンサーを探す努力もしている。だがもしスポンサーが見つからなければ、投資しなければならないのは私だ」
「私はジュール(ビアンキ)にそうした。シャルルにもだ。私は特別だと感じるドライバーに対してはそうする」
レッドブルの若手育成プログラムではよく見られることだが、ジュニアカテゴリーにおける若手ドライバーのパフォーマンスが将来の成功を保証するわけではないとトッドは認めた。
「間違いを犯すこともある。自分の選択ができる限り正しいものであるよう留意する必要がある。だが良い選択ばかりをすることはできない。数学的に言えば、それは不可能だ」
「レッドブルを見てみよう。彼らには過去15人のドライバーがいた。15人のうち、今日F1にいるのは2、3人だ」
「どこかしらで間違った選択をすることはある。そして私には15人のドライバーを抱える余裕はない。その予算がないからだ。だから私はひとりかふたりのドライバーを選び、自分の選択が正しかったことを期待するのだ」