ハウステンボス・技術センター 農業支援事業 参入へ 土壌菌活性剤販売 農家の所得向上図る

販売を本格的に始める「エーペックステン」を手にする(左から)松尾社長と鶴田修一取締役=佐世保市、ハウステンボス・技術センター

 長崎県佐世保市のハウステンボス(HTB)の施設管理などを手掛けるハウステンボス・技術センター(佐世保市)は、農業支援事業に参入する。2020年から、収穫量の増加が実証された天然液体腐植酸「APEX-10」(エーペックステン)の販売を本格的に開始。株式上場に向けた取り組みで、農家の所得向上を通した地域振興を図る。
 エーペックステンは米国産で、1万年前の地層から抽出した有機素材の土壌菌活性剤。輸入販売元の国内企業と代理店契約を結んだ。
 販売を前に、九州の農家約30戸で実証事業をしたところ、収穫量の増加や糖度の向上といった効果が確認できた。福岡県内のキュウリ農家では出荷量が1.3倍、出荷金額は2倍に増加。佐世保市内のアスパラガス農家は、台風の被害を受けたハウスで試し、生育の遅れが順調に回復したという。
 散水する際に300倍に希釈して使用。初めの3カ月は月に1度、その後は2カ月に1度散布する。1本1.9リットル入りで、当面は年間1万本の販売が目標。県外の農協との取引も見込んでいる。
 ハウステンボス・技術センターは、HTBの子会社だったが、18年12月に旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)の子会社となった。現在ではHTBの施設管理に加え、リフォーム事業や不動産事業などBtoB(企業間取引)を中心に展開。農業用製品の販売は、顧客向け事業の第一弾となる。将来的には、HTBと同じく株式上場を目指している。
 松尾貴社長は「農業者の収入が安定すれば、地域経済への波及効果は大きい。地域に愛される企業を目指したい」と語った。

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