8割弱「依存症増える」 県内精神科医アンケート

横浜市が進めるIR誘致に反対を表明する精神科医ら=横浜市役所

カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致について、ギャンブル依存症患者を診療する立場にある県内の精神科医を対象にアンケートしたところ、回答者の8割近くが依存症患者が増えると予想していることが分かった。依存症の治療を「難しい」と捉えている医師も9割近くに上った。アンケートを行った県精神神経科診療所協会は「医学面から、IR誘致に反対する」とし、誘致中止を求める約8700筆の署名を今後、市に提出する。

 協会などが24日、市役所で会見した。協会は10、11月、会員約200人にアンケート用紙を送付。88人が回答した。

 誘致に伴って依存症が増えると回答したのは77%。同じく77%が「依存症患者支援のためには、新たなギャンブル施設を造らない方がいい」と答えた。

 85%が依存症の治療は「難しい」と指摘。協会によると、うつなど他の病気を併発していれば医療機関につながるが、依存症のみだと本人に自覚がないため、診療を開始・継続することが難しいという。アンケートもその現状を裏付けるように、48人が「治療方法が分からない」、38人が「治療の開始や継続ができていない」と回答。現在、依存症のみの患者を診療している医師も36%にとどまった。

 回答した精神科医からは「(依存症は)重大な社会問題と思うが、医学・医療では抱えきれない」と指摘する意見も寄せられたという。

 協会は「依存症の最大の予防は、ギャンブルの機会を増やさないこと」と強調。9月から11月にかけて医療従事者、患者、家族らから集めた誘致中止を求める署名を市に提出するとした。

 誘致に関する市民説明会での市の説明によると、市内のギャンブル依存症患者数は約2万人と推計される。

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