【ピラルク】に魅せられて。怪魚ハンターが伝えたい“ピラルクフィッシングの魅力と現実” 「ピラルク」という魚について。釣り好きでなくとも、名前だけは聞いたことがある人もいるかもしれませんね。「世界最大・アマゾン川の王者・釣り人の憧れ」などと呼ばれ、まさにスーパースターという称号にふさわしき偉大な魚。今回はそんなピラルクに対しての想いを書かせていただきます。

神の魚“ピラルク”

︎ピラルクの鱗のアップ。色の三原色“赤・緑・青”すべてが一枚一枚の大きな鱗によって彩られています。

こんにちは。怪魚ハンターの山根(兄)です。

どうですか? この美しい鱗。

この鱗はとても強固であり、モリすらも跳ね返すと言われています。

じつはこのような魚らしい鱗を持ちながら、3m以上に成長する巨大淡水魚はピラルクを含めてパーカホーやナイルパーチなど……

世界に数種類しかいないことは、意外と知られていない事実だったりします。

恐竜時代から生き残る古代魚

ピラルクは恐竜たちが大繁栄した白亜紀に出現したとされています。

長く生き残れた要因……それは人間のように肺呼吸できることです。

魚は鰾(うきぶくろ)に空気をためることで浮力をコントロールしていますが、ピラルクはこの鰾を使って空気呼吸します。

一億年という長い期間。きっと水中の酸素が著しく低下した時期もあったことでしょう。

ハイギョやポリプテルス、ガーやアミアなど多くの古代魚は肺を持っていることからもわかりますね。

原産地でのピラルクフィッシングの今

生息地は南米アマゾン川のジャングル“奥深く”

ピラルクは南米大陸のアマゾン川流域に広く分布している魚。

雨期に増水してできた水たまりのような環境(三日月湖)や湿原のような場所を好みます。

あまり流れの強い場所は苦手なんですね。

メインはエサ釣り

どんなエサ釣りもやはり鮮度が重要。

朝起きたらまず、エサとなるシルバーアロワナやピーコックバスを釣りに出かけます。

ジャングルは言わずとも灼熱。生のエサは一日放置するだけで腐っていきます。

奥地に入り込むと氷で冷やすことすらできないのです。

腐ったほうが匂いが出るとか、内臓のほうが食いが良いなどいろいろ説がありますが……僕自身はそれを感じたことはありません。

じつはスレている。それがピラルク釣りの現実です。

ピラルクは流れの少ない場所を好むため、ラーゴと呼ばれる閉鎖的な場所に潜んでいます。

しかし、釣り人が容易く入り込めるようなラーゴは、アマゾン広しといえども限られています。そのため、そこに世界中のアングラーが押し寄せていまうのです。

余程の開拓心が無ければ、「人間に出会ったことのないピラルク」を見つけることは難しいと言えます。

スポーツフィッシングとして認める動きも

ピラルクを大切にすることで、生活にゆとりと安定が訪れることを現地住民が理解しはじめています。

そこに、今後もピラルクフィッシングを楽しみたいというアングラーの想いがマッチ。

キャッチ&リリースの徹底や魚の蘇生方法の指導、釣具や釣獲尾数に関するルール作りなどが進められてきています。

多くの巨大生物の絶滅が危惧される昨今、ピラルクも例外ではありません

適切な資源管理が施されれば、マーレーコッドのように復活し、いつまでも釣りが楽しめることでしょう。

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これからも多くの人に夢と感動を与えて欲しい

これだけ美しく、大きく、神秘的な魚は他に存在しません。

「よくも一億年も生き延びてくれた。そしてこの先もずっと生き続けて欲しい」そう日々願っています。

ライトタックルで瀕死状態まで追い込まない極力陸上げしないなど……

アマゾンのピラルクに挑まれる方は、そんなことを気にしていただければ嬉しいです。

>>Next Page:身近になりつつある「釣り堀ピラルク」

アマゾン以外でも楽しめるようになった「ピラルク」

一つのジャンルとして確立された怪魚釣り堀

タイやマレーシアを始めとする東南アジアでピラルクを狙うことができる釣り堀が増えてきています。

手軽にこれだけの巨大魚を手にすることができる環境が整っていることは、とても良いことだと僕は思います。

目の前で跳ねる2mオーバーの巨大魚

ジャングル奥地のような命の危機を感じる秘境感こそないものの、目の前で巨大なピラルクが空気呼吸する姿に多くの釣り人は心躍らせることでしょう。

海外であること、釣ったことのない魚が目の前にいること。これだけで十分ワクワクしちゃいますよね。

「ソレ、釣り堀だろ?」は違うと思います。

僕は釣り堀であっても、胸張って「ピラルク釣ったぞ!」と自慢して良いと思ってます。

その釣り堀へ一歩踏み出した、これだけでその釣り人にとっては大冒険。素晴らしい経験にもなりますからね。

自分がドキドキできたか、次に何処へ何を釣りに行きたいか。大切なのは自分の心の中にあるはずです。

ピラルクは釣り堀でも大切に扱われています

ピラルクは弱りやすく蘇生しにくい魚なので、釣り堀でも扱い方はとても丁寧です。

ヒットすると、すぐさまスタッフが専用の担架をもって駆けつけてきます。

釣り堀によっては陸上げを禁止している場所もあったりと、大切に扱われているのです。

「ピラルク入門」は怪魚釣り堀がおすすめ

釣り堀とは言え、侮るなかれ!

ピラルクに関してはしっかり準備していかないと高確率でボウズをくらいます。

バランスの取れたタックルと、様々な状況に対応するルアーを用意しましょう。

行先や状況にもよりけりですが、ピラルクのみに限定すると一日2〜5バイトが平均的かと思います。

貴重なバイトを取りこぼさないよう、万全な準備をおすすめします。

ギル型ルアーが効果的な理由

釣り堀のピラルクたちはブルーギルによく似た、ティラピアをエサとして与えられています。

マッチ・ザ・ベイトは釣り堀でも当然のごとく効果的。ギル型ルアーは必ず持っていきましょう。

困ったときは……コレを試してみてください!

フックはST66で。泳がなくてもOK。

いかにスレた魚が、シルエットでエサかそうでないかを判断しているかが分かります。

釣り堀の管理人がエサを撒くタイミングで使用してみてください。

写真提供:TRANSCENDENCE
文:山根 kimi ヒロユキ

この記事を書いた人

山根 kimi ヒロユキ

“初めての1匹”を求めて、世界中どこへでも行く怪魚ハンター「山根ブラザーズ」の兄。

釣りに留まらず、ガサガサや漁業者と協力してまでも、まだ見ぬ生き物を追い求め、日々水辺に立っている。

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