鷹・柳田、なぜ異例の「7年」契約に? 鍵になった“国内”FA権と「40歳前」

契約更改に臨んだソフトバンク・柳田悠岐【写真:藤浦一都】

NPBでの7年契約は松中氏、則本と並び日本人最長契約に

 25日にヤフオクドームで契約更改交渉を行ったソフトバンクの柳田悠岐外野手。そこで結んだのは、2020年度から新たな7年契約という衝撃的なものだった。来季の年俸は現状維持となる5億7000万円プラス出来高払いで、その後は変動制。4年後の2023年オフに、4年間の成績を鑑みて、その後の3年の契約の詳細が決まる内容となった。(金額は推定)

 3年や4年という複数年契約はよくあるものの、7年という長期契約は日本のプロ野球界では異例だ。これまでに7年契約を結んだ選手は2006年のソフトバンクの松中信彦氏、そして楽天の則本昂大投手の2人しかいない。現在31歳の柳田。7年契約が満了となる2026年には38歳になっている。球団としても、大なり小なりリスクは伴うことになる。

 ソフトバンクの三笠杉彦GMは交渉終了後に、柳田との7年契約についてこう語っている。

「チームの柱として長くやってもらいたいということ。来年が3年契約の3年目で、海外FAの取得を見越した3年だった。国内FAを持った状態で3年契約が切れると、来オフの選択肢が増える。ホークスとしてはずっとプレーしてもらいたいという思いがあってこういう話になった」

 柳田は2017年オフに3年契約を結んでいた。順調なら2020年中に取得できる海外FA権を見越してのものだった。3年契約が切れた時点で、メジャーへの思いがあれば、FA権を行使してMLBに挑戦するプランもあった。だが、今季途中の故障により長期離脱し、海外FA権の取得は早くても2021年中に先延ばしに。FA権を行使してメジャーに挑戦できるとしても、2021年オフとなった。

三笠GMは球団としての野望も「世界一に歩む代表として一緒にやりたいと思ってくれている」

 ただ、柳田は国内FA権は保持しており、3年契約が切れる2020年オフには国内他球団も選択肢に加えることが可能だった。生涯、ホークスでプレーしてもらいたいと考える球団側は、契約が切れる1年前に引き留めを図りたかった。だからこそ、契約を見直して、新たな複数年を提示した。

 では、なぜ「7年」となったのか。三笠GMは「日本で最高の力を持つ打者の1人だと評価している。まだまだ長くやってもらえると思っている。遠い将来のことは分からないけど、40歳前くらいまで、がいい塩梅のところかなと考えた」とコメント。過去の長期契約の前例も鑑みた上で、40歳目前というところをポイントの1つに置いたようだ。

 さらには球団としての野望も三笠GMは口にした。「球団として『目指せ世界一』をスローガンとしてやっている。個人でメジャーに、という選手もいるが、彼はホークスの一員として、まだ世界一決定戦はできていないけど、世界一に歩む代表として一緒にやりたいと思ってくれている」。球団として掲げる「世界一」を目指すチームの代表としても柳田に期待した。

「長い契約をしてくれたのは素直に嬉しいこと。ファンも喜んでくれるんじゃないかと思う」。チームの顔でもある柳田が“生涯ホークス”を誓ったことを球団としても手放しで喜んだ三笠GM。7年間はソフトバンクの顔として、大暴れを期待したい。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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