郷土資料センター公文書保存 専門職不在「不安残る」 県の回答受け もとめる会

県の回答を受け記者会見する山口氏(右から2人目)ら=県庁

 長崎県内外の研究者らでつくる「長崎の近現代資料の保存・公開をもとめる会」(呼びかけ人・山口響氏ら7人)は25日、県が長崎市に開設予定の「郷土資料センター」(仮称)について、11月に県に提出した公開質問状への回答を明らかにした。同会は、同センターに公文書管理の専門職(アーキビスト)が置かれず資料収集・保存における県の姿勢も不十分として、「全体として不安が残る」との見方を示した。
 同センターは県が旧県立長崎図書館跡地(同市立山1丁目)に2021年度開設予定。質問状は同センターと、併設される「公文書コーナー」の資料収集、運営態勢などを聞いた。県は25日に文書で正式回答。山口氏ら同会の呼びかけ人5人が県庁で記者会見した。
 県総務文書課によると、公文書は現在、規程に基づき作成翌年度から1~30年間保存。その後は00年に定めた歴史的文書の収集・保存要領に該当する文書だけを保存している。公文書コーナーでは、この歴史的文書や目録を公開する方針。同コーナーの業務は同センター職員が兼務し、専門職配置は困難と回答した。
 郷土資料に関して同会は、被爆者の日記などを想定し、出版物以外の収集予定を尋ねていた。県は回答で、長崎ゆかりの文学関連などを除いて収集には消極的な姿勢を示した。
 会見で山口氏らは「保存公文書の選別は県庁の中だけでやっており、外部の声を入れるべきだ」と指摘。郷土資料も「どのように広く資料を集めるか、はっきりした姿が見えない」とした。同会は今後、課題を検討する公開シンポジウムを開く考え。
 県総務文書課は取材に「県としては公文書管理は適正と考えているが、他県の状況などを調査し研究したい」とした。

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