家族思う やわらかな甘み 五島特産・かんころ餅作り

ついた餅と蒸した「かんころ」を機械で練り合わせる平田さん=五島市小泊町

 長崎県五島市には年末年始が近づくと、家庭で特産のかんころ餅を作る昔ながらの風習が残る。サツマイモをゆで干しした「かんころ」やもち米、砂糖の配合は家ごとに違う。島内の親戚や友人、島を離れた子どもたちへ届ける古里の味だ。
 同市小泊町の平田耕一さん(79)宅では23日、日が昇る前から火をおこして作業が始まった。原料の芋も自らの畑で育てた。「みんな楽しみにしてくれていて、芋を掘る11月になると『出来はどうですか』と電話がかかってくる。送料が大変よ」。耕一さんは、どこかうれしそうに語る。
 北風を当てて乾燥させた「かんころ」は黄金色に輝く。湯に漬けてやわらかくした後、かまどで餅と一緒に蒸し上げる。それを機械で練り上げ、300グラムずつ細長く成形していく。砂糖の他に、自家栽培の白ごまを混ぜるのが平田家流だ。
 やわらかく、程よい甘みが特長。100個以上作り、東京や福岡などに暮らす子や孫、親戚に送る。耕一さんは「かんころ餅を食べて、新しい年も元気で過ごしてほしいですね」と目を細めた。

練り合わせたかんころと餅は、女性陣が手早く成形した=五島市小泊町

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