【年の瀬の被災地】“地区を離れる決断” 落ち着く時間増えるも… 住民「今までとは違うお正月に」 長野

 長野市津野の住宅の庭に置かれたコンテナ。中で生活をするのは、リンゴ農家の小川広さんと妻の京子さんです。

庭に置いたコンテナで生活する小川さん (長野市 12月25日)

「おとうさんうどんでいい?」「いいよ」

妻・京子さん:

「キッチンも狭いですけど多少なりとも料理のバリエーションが増えてきました」

 決壊現場からおよそ300メートルの場所にある自宅は、家具などが流され大量の泥も流れこみました。

(11月12日)小川広さん:

「災害にあって毎日の平穏な生活の中に幸せが手の中にあったなと幸せは遠くにない近くにあったなと、これが今の心境」

 災害から2ヵ月半。ボランティアの助けもあり片付けや農作業もひと段落しました。これまで自宅2階で生活していましたが庭にコンテナを置き、今週始めに生活の拠点を移しました。年の瀬を迎え落ち着く時間は増えましたが...

妻・京子さん:

「あんまり今まで感じなかったのが、最近のほうがちょっと余裕ができたのか、自分の生活を見たときに今までと違ったお正月を迎えるんだなと暮れを迎えるんだなと実感している」

 小川さんは、来年8月に地区外に家を建てこの地を離れることを決めています。

小川広さん:

「今までこの地区を良くしていこうというメンバーがいっぱいいるのにそのメンバーを後ろにおいて自分たちが移動してしまうという後ろめたさは残る。その分この地区にも恩返しはこれからもやっていく。そういう腹積もりではいるんですけど」

 小川さんは複雑な思いを抱えながら新年を迎えます。

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