「新年、新たな気持ちで」 台風で全壊の家屋、ボランティアが〝思い出の品〟探し

ボランティアの協力を得て作業する外山さん。奥に崩落した斜面が見える=28日、相模原市緑区

 台風19号で土砂災害が相次いだ相模原市緑区牧野地区で28日、全壊した住宅から土砂やがれきなどを取り除く作業が行われた。公費による撤去の見通しが立たない中、有志のボランティアが「新たな気持ちで新年を迎えてほしい」と家人に協力し、家財や大切な品を探した。

 作業が行われたのは、まきストーブプランナー外山泰典さん(44)=同区=の両親が暮らしていた牧野の自宅。背後の崖から崩れた土砂の直撃を受け、避難しようとしていた父(72)が肩を負傷した。一足先に避難場所に身を寄せていた母(68)は無事だった。

 押し寄せた土砂や樹木は両隣や下方の住宅も巻き込み、付近では女性1人が死亡。外山さんは被災後、技術を生かして周辺で倒木の撤去などに取り組み、「12月に入ってようやく敷地内を作業できるようになった」という。

 この日集まったボランティアは15人ほど。倒木をチェーンソーで切断し、敷地内の泥を小型のダンプカーで運び出した。外山さんの父も重機で加わった。

 「更地にしてどう再出発するか考えたい。一期一会かもしれないが、ボランティアの存在はすごくありがたい」と外山さん。市内で支援を続けるやまと災害ボランティアネットワークの市原信行代表理事は「年内にできるだけきれいな状態にしたい。29、30日も作業する」とし、フェイスブックで参加を募っている。

 県内で2019年に発生した土砂災害(一定規模以上や住宅が巻き込まれたケースなど)は27日現在で214件に上り、過去10年で最多。県によると、台風19号(94件)と15号(72件)で約8割を占め、市町村別では相模原市(37件)が最も多かった。

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