健康テレホン終了 長崎県保険医協会 テーマ多様に33年間 応答装置の電源 オフに

「今後も県民に正しい情報を提供していく必要がある」と話す原田委員長=長崎市平和町、原田医院

 長崎県内の医師、歯科医師でつくる県保険医協会(本田孝也会長)が1986年12月から33年間、電話を通じて健康情報を提供してきた「健康テレホンサービス」が27日で幕を閉じた。80年代半ばから全国的に広がったサービスだが、近年は県外でも終了が相次いでいた。サービス終了は、インターネットの普及が進み、利用者数の減少や、通常業務もある中で原稿の執筆依頼が難しくなったことなどが理由という。
 地域医療への貢献や県民や会員に協会の活動をアピールしようと同協会は全国で16番目にサービスを開始。曜日ごとにテーマを変え、最新医学から身近な医療情報までを600文字以内の原稿で、2分半前後にまとめて提供していた。専門科が異なる10人で構成する「テレホン委員会」が毎月開く会議で、季節や情勢などを考慮しながら5カ月先のテーマや執筆者を決定。原稿は委員と事務局で目を通し、専門用語はわかりやすい言葉に変更するなどの校正作業もしてきた。
 初期の年間利用は電話の本数で2万本前後。多いときには月に3千本以上の利用があった。特に性に関するテーマの利用が多く、直接相談しづらい内容が目立った。87年には当時社会問題となっていたエイズについて通常の回線と別で放送すると、1カ月で約1万1500本の利用があった。
 テレホンサービスは終了するが、原田知行委員長(72)は「今後も協会として県民に正しい情報を提供していく必要はある」と話す。現在、直近5年分の原稿は協会ホームページから見ることができる。今後は過去10年分の提供原稿も掲載する予定という。また、1年間分の提供原稿をまとめた「健康一口メモ」の2019年版は来年1月末に発行する。
 27日の午後5時、事務局の永田たくみさん(38)が応答装置の電源を切り、テレホンサービスの提供が終了した。永田さんは「無事に終わることができホッとしている。テレホンサービスは先生方の善意の積み重ねだと思う」と振り返った。

健康テレホンサービスの応答装置の電源を切る永田さん=長崎市恵美須町

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