小6の発明が特許権 洗濯ばさみ収納品、お手伝いがヒント 平塚

 夏休みの課題で神奈川県平塚市立吉沢小学校6年生の守田貫一郎君(12)が作り、市のコンテストで受賞した工作作品が特許権を取得した。「日常生活の困りごとを解決しようと思った」と語る守田君が、母の家事を手伝いながらひらめいた“発明品”は「洗たくバサミまとめるくん」。特許につなげた弁理士も「30年以上も特許の仕事をしてきたが小学生の取得は初めて」と驚いている。

 「まとめるくん」は守田君が昨年の夏休みに作った課題用の工作。容器に洗濯ばさみを入れると、自動的に同じ向きで収納される便利アイテムだ。材料は厚紙と竹ひご、クリアファイルと、全て自宅にあるもので賄った。

 学校を通して「市児童生徒創意くふう展」のコンテストに提出したところ、最優秀の市長賞を受賞。子どもながら光るアイデアに大人の審査員たちも舌を巻いた。

 細長い筒状容器に軸となる竹ひごを立てた構造で、竹ひごに洗濯ばさみの穴を通して落とすと、「ハ」の字に仕切られた内壁が向きを修正。どの向きから洗濯ばさみを落としても全て同じ向きで収納され、容器の底から1個ずつ簡単に取り出せる。

 このアイデアに目を付けたのが、コンテスト審査員長でもあった弁理士の福村直樹さん。「長年、特許に携わってきて直感的に特許が取れると思った」。手続きを進めて3月に特許出願し、11月に登録された。

 必要は発明の母─。母の恵理子さんに洗濯物を取り込む手伝いを頼まれることが多いという守田君。使い終わった洗濯ばさみはロープに1個ずつ挟んでしまっていたが、「もっと楽にできる方法があるのでは」と考えたのがきっかけだった。

 「自分で考えて作るのが好き。思った通りにうまくいくとうれしい」と話す守田君に、恵理子さんは「我が子ながらすごいと思う。周りに気を配ることができる優しい子」と言う。

 発明品が家族を助けたことも。守田君の自宅は2階がリビングで、1階に祖母が暮らしている。用事で声を上げても2階の家族の耳に届かず困っている祖母を見て、ベルの付いたひもを階段の手すりに付け、呼び鈴を自作。祖母は喜び、今でも活用しているという。

 全国でも珍しい小学生の特許。福村さんは「小学生でも、誰も思いつかないアイデアであれば特許が認められる。シンプルな構造というのも実用化の面で望ましい」と説明する。

 「特許証がずっと待ち遠しくて、届いた日には1日中見ていた」という守田君。将来の夢はまだ決まってはいないが「また困ったことがあったら、いろいろ作って解決したい」

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