変わる諫早 大型商業施設の行方 人、モノ、情報行き交う町に

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諫早市西部の利便性向上に一役買っている「イオンタウン諫早西部台」=2019年11月30日、諫早市大さこ町

 青空が広がる2019年11月30日朝。ショッピングカートを引いた老夫婦やベビーカーを押す女性たちが、坂道をゆっくり上っていた。お目当ては、開業したばかりのショッピングセンター「イオンタウン諫早西部台」(諫早市大さこ町)。「商業施設が進出すると聞いて、この地区に家を建てた」「生鮮食品が歩いて買いに行けるので助かる」
 センターは、食品スーパー「マックスバリュ九州」を核店舗に、ドラッグストアや100円ショップ、フィットネスクラブ、介護デイサービスなど13店舗が出店。ここから西に約1.5キロの大村市溝陸町にも同じ食品スーパーがあり、「商圏が重なる」とも指摘されてきたが、マックスバリュ九州側は「諫早産食材をさらに発掘し、各店独自の品ぞろえにしていく」として両店の差別化を図る考えだ。
 イオンタウン(千葉)は、センターの商圏を車で10分以内、約4万3千人と想定。西友諫早店(2015年閉店)があった諫早駅周辺も含まれるが、駅近くの住民は「自家用車がなければ行けない」と話し、アクセス向上が課題になりそうだ。
 市東部の鷲崎、長野両町への大型商業施設の進出構想も市民の関心事。実現すれば、島原半島や長崎市東部などを含む40万人商圏といわれ、市などは交流人口増や雇用創出効果に期待を寄せる。
 鷲崎町側は地権者と開発予定業者が2018年3月、開発許可申請に向けた事前協議申出書を市に提出した。道路渋滞対策など関係機関との個別協議を続けているが、開発予定地の多くが土地利用に制限のある農業振興地域。今後、農用地区域の除外や農地転用許可など複数の手続きがあり、時間を要しそうだ。一方、隣接する長野町側でも、別の業者による進出構想があり、こちらも市民の期待感は高まっている。
 市が第2次総合計画策定の基礎資料とした市民アンケート(14年)によると、市の取り組みへの満足度を聞く質問で、「商店街のにぎわい」への不満が7割超に上った。映画館を含む大型ショッピングモールの待望論が多く、雲仙市の50代主婦は「子どもと映画を見るのに長崎市まで行くのは大変。諫早にできたら助かる」と話す。
 諫早駅と中央商店街を核とした中心市街地の衰退を懸念する声もあるが、大型商業施設進出を逆手に取り、中心市街地の独自性を明確にしたエリア戦略を提言する声も出始めている。
 「駅周辺は行政サービスやホテルなどの“玄関口”。中央商店街は住民生活と心の豊かさが感じられる“コト消費”(体験重視の消費傾向)エリアとして、それぞれにぎわいを生むことが大切」。諫早商工会議所の黒田隆雄会頭は説く。
 同会議所は2018年、市中心部を流れる本明川などの地域資源を生かしたまちづくり政策を市に提言した。黒田会頭は「行政内の部署横断型のチームをはじめ、さまざまな事業を展開できるキーマンの発掘やPR活動が必要」とも指摘し、大型商業施設との共存共栄を視野に入れた「人、モノ、情報が行き交う町」への進化を描いている。

イオンタウン諫早西部台