ボルボ S60 T6(プラグインハイブリッド)試乗│フラッグシップは大人のためのスポーツセダン

ボルボ S60 T6 TwinEngine AWD Inscription

市場縮小を逆手に取り、S60で新たなユーザー獲得を目指したいボルボ

ボルボ S60 T6 TwinEngine AWD Inscription

“日本ジャストサイズ”をキーワードに登場したステーションワゴンの「V60」は、SUV人気の中で2019年12月現在約5カ月の納車待ちと人気が高いが、そのセダン版となるのが「S60」だ。

かつてはファミリーカーの代名詞と言われたセダンだが、ミニバン/SUV人気に追いやられ、現在日本で購入可能なセダンのラインアップは縮小傾向である。その結果、国産高級セダンの多くはモデルチェンジも先送りされロングライフとなっていて、商品性も低下。実は代替えに困っているユーザーも多いと聞いている。そこでボルボ・カー・ジャパンはセダン市場縮小を逆手に取り、新型S60の投入で新たなユーザーを獲得……と言う考えなのだろう。

S60はボルボ初の北米生産(サウスカロライナ州チャールストン工場)であると同時に、ワールドワイドでディーゼルエンジンをラインアップしない初の次世代ボルボだが、そのフラッグシップは「ツインエンジン」と呼ばれるプラグインハイブリッドモデル「T6」(VOLVO S60 T6 TwinEngine AWD)だ。

すでに主力モデルとなる2Lターボの「T5」の試乗記はお届け済みなので、今回はガソリン車との違いを中心にお届けしたいと思う。

T6エンジンの走行モードは全5種類

ボルボ S60 T6 TwinEngine AWD Inscription

ボルボ S60 T6ツインエンジンのパワートレインは、フロントに253ps/350Nmを発揮する2Lターボ+スーパーチャージャー+CISG(Crank-mounted integrated starter generator:スターターとオルタネータ、更にトルクアシストにも利用可能なシステム)、リアに87ps/240Nmのモーターを搭載。車両の中心下部にレイアウトされるリチウムイオンバッテリーの容量は12.2kWhで、EV航続距離は48.2kmとなっている。ちなみに充電は200Vの普通充電のみで、左フロントフェンダーに充電口が用意される。

走行モードはPure mode(モーター走行を最優先)、Hybrid mode(エンジンとモーターを適宜使用しバランスよく走行)、AWD mode(アクセルON時に常にリアのモーターを稼働しトラクションを最大化)、Power mode(エンジン/モーター双方をフルに稼働)に加えて、ドライバーが任意でセットアップ可能なIndividual modeの5種類を用意。

トランスミッションはガソリン車と同じく8速ATだが、ツインエンジン用に最適化が行なわれている。Bポジションをセレクトすると回生ブレーキを強くすることが可能だ。

シャシーは新世代プラットフォーム「SPA」を採用するが、バッテリーの搭載に合わせて専用トンネル/リアフロア、強化されたサイドシルなど専用構造が盛り込まれている。

ボルボ S60 T6 TwinEngine AWD Inscription
ボルボ S60 T6 TwinEngine AWD Inscription

ボルボ S60 T6ツインエンジンの内外装はガソリン車と大きな違いはないが、センターディスプレイには出力フローのリアルタイム表示、専用のメーター表示(バッテリーの状態やアクセル開度に応じてモーター/エンジンの使用領域を確認可能)に加えて、スウェーデンオレフィス社製クリスタルシフトノブが奢られる。

「T6」はS60のフラッグシップにふさわしい乗り味

ボルボ S60 T6 TwinEngine AWD Inscription

その走りはどうか? ガソリンターボのT5でも十分なパフォーマンスを備えるものの、アクセルを踏んだ際の応答性やターボラグ、回転フィールなどにプレミアムモデルとしての物足りなさを感じていた。

S60 T6 ツインエンジンはその点、電動ターボ的な力強さに加えて、滑らかなトルク特性や雑味のないフィーリングと、ガソリン車で気になっていた部分はほぼ解消されている。もちろん、モーター走行による滑らかなで静かな走りも魅力だが、筆者はそれよりも電動化のサポートでエンジンの洗練さが増し、動的質感が高められた事を高く評価したい。

フットワークは、T5の場合レスポンスが良く軽快な動き、初期ロールを抑えたフットワーク、更にSPAの熟成も相まってでスポーツ性をアピールした乗り味に仕上がっている。これに対しS60 T6 ツインエンジンは、T5の良さを踏襲しながらも、薄皮一枚挟んで僅かに穏やかになったクルマの動きに加え、前後の重量バランスが変化したことで4つのタイヤをより効率的に使えている印象.

T5よりもコーナリング時の安心感が高かった。

ちなみにS60 T6 ツインエンジンの車両重量はガソリン車+350kgなので、コーナリング時に絶対的な重さは感じるものの、バッテリーをクルマの中央の低い位置に搭載しているため、走りでネガを感じるシチュエーションはあまりなかった。

むしろ、モーターの応答性の良さを活かしFRのようにリアタイヤがグッと蹴り出してくれる感じや、重さを活かしたシットリした足の動きなども相まって、動的質感はガソリン車よりも高く、S60のフラッグシップにふさわしい乗り味だと思う。

効果絶大な“新”ブレーキバイワイヤーシステム

ボルボ S60 T6 TwinEngine AWD Inscription

実は筆者は同じツインエンジンを搭載したV60で、スウェーデンの北極圏に近いルレオの氷上コースでスパイクタイヤを履いて限界走行を試しているが、FRのようなダイナミックな姿勢変化が可能なハンドリングと絶対スピンしない安定性とが兼ね備えられていた。内に秘めたスポーツ性にもビックリ!!

ブレーキは回生協調式となるが、他のボルボ ツインエンジンモデルではブレーキの踏力と制動の関係にリニアさがないことが気になっていたが、S60 T6 ツインエンジンでは普通に走っている限りはほぼ気になることはなかった。この辺りはS60から採用された“新”ブレーキバイワイヤーシステムの効果も大きいはずだ。

まさに「大人のためのスポーツセダン」

ボルボ S60 T6 TwinEngine AWD Inscription 筆者:山本 シンヤ氏

このようにボルボ S60 T6 ツインエンジンはスポーティなのにフォーマルと言う絶妙な塩梅の立ち位置のモデルに仕上がっており、まさに「大人のためのスポーツセダン」と呼ぶにふさわしい存在に仕上がっている。

個人的には外部給電をせずに普通のハイブリッドカーとして使っても魅力ある一台だと思っている。

[筆者:山本 シンヤ/撮影:和田 清志]

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