高校生、立つ夢舞台 ミュージカル上演24日横須賀

 脚本も、キャストも横須賀の現役高校生という手づくりのミュージカル「アスパラガス−今でなければ−」が24日、横須賀市公郷町の衣笠コミュニティセンターで上演される。思春期に葛藤する若者の姿を等身大で演じるのは、昨夏に発足した「劇団☆叶夢here」のメンバー。一度限りのステージを、地元出身の舞台俳優らがバックアップする。

 幅6メートル、奥行き3メートルの狭すぎるステージに、女子ばかりの笑顔がはじける。同市周辺の8校から集まった「1期生」は大道具などの裏方を含めて計15人。高校の演劇部員やダンス、バレエ経験者など多彩で、元劇団四季の舞台俳優・武藤寛さんが総監督を務める。

 発足の契機は昨春、同市出身の武藤さんらが同センターで開いたミュージカルコンサートだった。ほぼ満席の場内は年配者ばかり。「夢を語る舞台なのに、若い人がいないのはもったいない」。観客の一人だった田村優佳さん(17)=県立横須賀高校2年=の思いを、SNSでつながった職員が受け止め、プロのアーティストを動かした。

 物語は、10代で一度は経験する反抗期を描く。親や社会に突っ張ってみせる女子生徒が「神の子」と出会って変わり始め、自分の夢を応援してくれる家族の存在に気付く、という内容だ。高校生らしいリアルなせりふ回しあり、ファンタジーありの独創的な脚本を、田村さんが3カ月がかりで書き上げた。

 発声に始まり、読み合わせや歌唱練習、舞台稽古…。平日の夜や土日を使って40回以上も集まる力の入れようだ。武藤さんも本業の合間を縫って駆け付け、地元のアマチュアミュージシャンが劇中曲を提供するなど、地域ぐるみで応援する機運も高まる。

 念願の初公演は、1期生にとって“卒業”の舞台でもある。田村さんは「(劇団誕生から)一気に話が進んでいった感じで、いまは終わってしまうのが怖いぐらい。高校生が一生懸命頑張る姿を、友人同士や家族と一緒に見てほしい」。

 主役を務める木村莉緒さん(16)=同高2年=も「『ありがとう』という言葉の大切さが分かるメッセージ性の強い作品。それぞれの役の内面が変わっていく様子を感じてもらえれば」と話している。◇ 午後4時開始で公演時間は約1時間半。定員400人(小学生以上)で入場無料。申し込みはメール(kiph-bes@city.yokosuka.kanagawa.jp)で受け付ける。11日必着で応募者多数の場合は抽選。問い合わせは、同センター電話046(852)3596。

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