湘南ゼミナールに是正勧告 学生「ブラックバイト改善を」

 大学生のアルバイト講師に授業時間以外の賃金を支払わない違法行為があったとして、相模原労働基準監督署が学習塾大手「湘南ゼミナール」(本社・横浜市中区)に是正勧告していたことが8日、分かった。労基署に申告した私立大1年の男子学生(19)は「ブラックバイトとなっている現状を何とかしたい」と、労働条件の改善を訴えている。

 都内で会見した学生と支援する労働組合「個別指導塾ユニオン」によると、勧告は昨年12月28日付。労基署は授業準備や受講生へのアドバイスといった授業前後に働いた分の賃金や深夜割増賃金が支払われていないなど、労働基準法違反を5件指摘。同社に対し、未払い分の賃金約22万円の支払いや適正な労働時間管理を求めたという。

 学生は同社が運営する相模原市内の個別指導学習塾「森塾」に勤務。昨年3月末から小中学生を教えており、「生徒の見送りや打ち合わせなどで授業時間以外も忙しく、午後3時から夕食を食べないまま夜10時すぎまで働いていることがある。多くの塾が似たような状況と聞いているので、自分が声を上げることで業界全体が変わってほしい」と話している。

 学生は昨年8月から同社と団体交渉を行ってきたが改善が図られないため、11月に労基署に申告していた。

 湘南ゼミナールは「是正勧告の内容を真摯(しんし)に受け止め、誠意を持って対応したい」と文書で回答した。同社は「湘南ゼミナール」「森塾」「スタディ・ナビ」などの名称で神奈川、東京、埼玉、千葉で約200教室を運営している。

 学習塾をめぐっては、アルバイト講師に授業時間分の賃金しか払われないケースが多いとして、厚生労働省が昨年3月、業界に適正な労務管理を要請していた。

© 株式会社神奈川新聞社