オリンピック・イヤー恒例の年末年始合宿が12月31日、東京・味の素トレーニングセンターでスタート。オリンピック代表に内定した6選手を含めた3スタイルの全日本トップ選手が集まり、汗を流した。練習は報道陣に公開された。
日本協会からは、福田富昭会長、高田裕司・副会長兼専務理事、富山英明・副会長兼広報委員長も参加。練習の冒頭で福田会長は「(本協会は)オリンピック前年からオリンピック・イヤーにかけて、必ず練習してきた。オリンピックに向けて心をひとつにし、金メダルを目指して頑張って欲しい」とあいさつ。
高田専務理事は「年越し合宿は恒例になっている。前は海へ行ったり(寒中水泳)、精神修行をやっていましたが、今回はやりません。たった2日間(2泊3日)だけど、なぜやるかを理解してほしい。金メダルを取る合宿です」ときっぱり。
オリンピック代表に内定した選手は「金メダルを取るにはどうしたらいいかをしっかり考えてほしい。人と同じことをやっていては勝てない」と伝え、「責任も感じてほしい。日本中が皆さんの結果を待っている」と話した。ここからオリンピックまでの強化は、個人の力では限界があり、いろんな人のサポートを得ることが必要と強調。「いかに強くなれるか、いかに伸ばせるかが勝負」と話した。
予選へ向かう選手は「何としても勝ち抜かなければならない。厳しい現実が待っている」とし、「なぜ(世界選手権で)出場枠を取れなかったのかをしっかり考えてほしい。今からの強化で十分に間に合う。強い気持ちを持って出場枠を取りに行ってほしい」と激励した。
最後に、「4年間、何度も合宿を重ねてきた。それで今の成績(出場枠8)である現実を見つめてほしい。監督やコーチは厳しいことを言うが、監督やコーチのためではなく、自分のために出場枠を取ってきてほしい」と続けた。
富山副会長は「あと7ヶ月しかない、と思うか、7ヶ月ある、と思うか。どちらであっても、1日、1日が勝負。先のことを考えるより、1日、1日をしっかり考えて乗り越えてほしい。世界チャンピオンでも不安はある。不安を払しょくするには、毎日の練習をしっかりやるしかない」と期待した。
西口茂樹・強化本部長は、自身が高校3年生の時に、高田専務理事や富山副会長が代表だった1984年ロサンゼルス・オリンピックへ向けての年末年始合宿に参加したという。「私たちにとっては、年末年始に練習するのは当たりまえ。正月なんてほしいとは思わない。ただ、トレーニングやメンタルのトレーナーや栄養のスタッフほかたくさんの人が来てくださっている。ぜひとも有効に活用させていただきましょう」と話し、影で支えてくれている人の苦労をねぎらい、その尽力に報いるよう要望した。
報道陣に囲まれた西口本部長は「アジア予選まであと80数日、その1ヶ月後に世界予選。枠を取っていない10階級、全力で取りに行く。『どうにかなる』と思っていたら、どうにもならない」ときっぱり。
女子については、「うまく勝とう、という姿勢がある。吉田沙保里、伊調馨のような積極的に攻めて勝つという姿勢が薄れている」とし、この課題を克服させたいという。男女を合わせて映像分析も進めており、サポート・スタッフの力を借りて、出場枠獲得とオリンピックで勝たせるために全力で臨むことを話した。
練習は、この日は男子グレコローマンの松本慎吾強化委員長(日体大教)が全体の指揮をとって進行。ウォーミングアップを終えたあとは各スタイルに分かれ、技の研究などに汗を流した。練習の最後は3スタイルの全員で補強トレーニングを行い、練習を締めた。