五輪イヤーの幕開けに、完全復活を印象付けた。MHPSの井上が、エースが集う4区(22.4キロ)を1時間3分57秒の区間新で走破。17人を抜き去り、五輪代表を争う設楽(ホンダ)が2018年にマークした1時間4分19秒を22秒塗り替えた。
昨年も4区を区間トップで走ったが、これを最後にスランプに陥った。6月の日本選手権5000メートルは13位、9月のマラソン東京五輪代表選考会(MGC)は完走した27人中最下位。「悔しさよりも戸惑いが大きい」。当時はショックのあまり、自らを見失いかけた。
それでも再起し、度重なる試練を成長の糧にしている。「あまりピリピリしないように、しっかり集中すること。今回はそれがいい結果につながった」。日本中から注目され、一度はプレッシャーに押しつぶされた経験から、自然体でいること、謙虚でいることの大切さを学んだ。
弾みをつけて臨む3月の東京マラソンは、五輪切符を得るためのラストチャレンジ。代表入りには日本新記録が必要だが「特別なことをしたら後手に回るので、走力もメンタルも地道に積み上げていきたい。まずはチームが強くなるために。その中で自分が五輪で戦って引っ張っていけたらいい」と迷いはない。本来の姿を取り戻した26歳は、しっかりと地に足をつけて勝負の年に挑む。
ニューイヤー駅伝2020 MHPS井上17人抜き区間新 五輪イヤーに完全復活
- Published
- 2020/01/03 10:15 (JST)
© 株式会社長崎新聞社