GONE

 その一報に触れた瞬間、どれぐらいの人数が同じ駄じゃれを思いついただろうか、とつい考えた。数万人? もっと? そのうち、実際に口に出して鼻で笑われ、激しく後悔した人は…。「ゴーンがGONE」…あ、書いちゃった▲2019年が「ぶれいく」と読める、とこの欄に書いた昨年の大みそか。とんだ“横紙破り”のニュースが飛び込んできた。金融商品取引法違反などの罪で起訴され、保釈中だった前日産自動車会長、カルロス・ゴーン被告の無断出国▲東京都内の自宅から楽器の箱に潜んで脱出し、自家用ジェット機でひとっ飛び-したらしい。準軍事組織や“救出作戦”のプロの関与もささやかれる▲そのまま映画にできそうな逃走劇である。しかしそれにしても、空港のエックス線検査はどうくぐり抜けたか、自家用機はいつの間に国内へ…と「?」は尽きない▲勝利声明とでも呼べばいいのか、レバノンからのメッセージは「裁きから逃れたのではなく、不正と政治的迫害から逃れたのだ」と日本の司法制度を強く批判している▲ただ、やっぱり思う。ルールを無視している人間には、ルールの不備や不具合を言い立てる資格などありはしない。違和感だらけ、謎だらけのやりたい放題に言いたい放題。この先に待つのはどんな結末なのだろう。(智)

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