地元出身ソフトボールの“オールスター”集結

子どもたちにロングティーを見せる日本代表の大石捕手=大村工高グラウンド

 全国の第一線で活躍する長崎県出身選手が小中学生に技術指導するソフトボールの「バッテリーキャンプ」が4日、大村市の大村工高グラウンドで行われ、約330人の児童、生徒が基本を学ぶと同時に、一流の力と技を目の当たりにした。
 競技振興や選手同士の交流を目的に、県ソフトボール協会が関係者と協力して昨年から開催。今年は県内16協会のうち、離島を含む15協会からの参加があり、高校の指導者や日本代表を含む学生、実業団選手ら約20人が講師を務めた。
 練習は投手と捕手に分かれ、投手陣は「投げたい方向にグラブをしっかり向けて」など理想的な投球動作を繰り返した。上級生は変化球の習得にも励んだ。捕手陣は捕球や送球の姿勢、足さばきを反復。「ショートバウンドを捕るときは顔を背けず目を開き、へそより下にボールを当てて体の近くに落とす」と教えられ、投手への効果的な声掛けも学んだ。
 講師陣による模範投球やロングティーもあり、剛速球や鋭い変化球、軽々とフェンスを越える大飛球に、子どもたちからは「おー」という驚きの声が続いた。日本代表のサイン入りボールなどが当たるじゃんけん大会も盛り上がった。
 参加した豊玉ジュニアの阿比留陽斗君、陽矢君(小学5年)は双子のバッテリー。投手の陽矢君は「教えてもらった変化球を試合で使ってみたい」、陽斗君は「ミスをしないバッテリーを目指す」とそろって競技への意識が上がった様子だった。

 ■“長崎オールスター”集結 小山投手「ソフトをメジャーに」

 今年も長崎が誇るソフトボールの“オールスター”が集結した。「いつか、この中から日本代表が出てくれれば」「ソフト界を盛り上げていくには下の世代の力が必要」-。全国トップレベルでプレーする大学、実業団選手が、新年の始まりに古里への思いを強め、子どもたちと交流した。
 注目を浴びたのは、日本代表で昨年の世界選手権で19年ぶりの準優勝に貢献した日体大3年の小山玲央投手(佐世保西高出身)。最速135キロの右腕は「一人でも多く競技を続けてほしい。自分たちがプレー以外の一つ一つの言動に気をつけることも、ソフトをメジャーにしていくために必要だと思う」と気を引き締めていた。
 同じく日本代表でホンダエンジニアリングの大石司捕手(大村工高出身)は「こういうイベントは長崎ならでは。こっちも力をもらうし、すごくいい機会。自分たちが代表で結果を残すことで少しでも影響を受けてくれればうれしい」と満足げだった。
 昨年、春夏日本一に輝いた大村工高のエース迎錬磨投手も、先輩たちと一緒に小中学生を指導。この春から古里を離れ、国内最高峰の日本リーグに挑む大型右腕は「1年目からタイトルを取れるような選手になりたい」と飛躍を誓っていた。
 子どもたちと交流した後は、選手や県ソフトボール協会役員が懇親会を開催。大村工高の山口義男監督は「いい長崎の流れがつくれてきている。ただ、止めてしまえば元に戻る。大変だけど、来年もやりましょう」と頼もしい教え子たちに呼び掛けていた。

日本代表の小山投手の投球を見つめる子どもたち=大村工高グラウンド

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