変わるべき!“専業主婦” 前提の社会制度

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。12月19日(木)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、ジャーナリストの中野円佳さんが“出産後の就業”について見解を述べました。

◆専業主婦前提社会から変わるべき日本

政府が実施した女性の職業に関する世論調査で、「子どもができてもずっと職業を続けるほうがよい」という回答が61%となり、調査以来初めて6割を超えました。出産で一旦仕事を辞め、子どもが大きくなってから就職先を探すのではなく、同じ仕事を続けたいという人が増えていることがわかりました。

この調査結果に関し、質問の仕方には「働くべきだと規範っぽく聞く方法」と「自分が働きたいかどうか希望を聞く場合」があるものの、今回の調査は割とゆるめの聞き方をしていただけに、「いろいろな要因で“よい”という回答が増えていくと思う」と中野さんは言います。

その要因は主に「経済的要因」と「心理的要因」、「制度的要因」があり、後者2つはとっぱらわれてきたものの、経済的要因は「ネガティブな意味でも膨らんできた」と中野さん。そして、今回の結果については、「まだ6割かという感じ」と率直な感想を述べます。

「21世紀出生児縦断調査」によると、出産1年前に常勤で働いていた女性は約38%。出産後も25~26%の人がそのまま続けていたり、戻ったりしているものの「結局はパートやアルバイトがどんどん増えている」
と中野さんは言います。これにはMCの堀潤も頷き、「そこにキャリアの断絶があったり、正社員雇用ではないことが低賃金化を招いたりする」
と補足すると、「処遇の改善に繋がっていかないなどの問題はいまだに非常に大きい」と中野さん。

次に、中野さんは京大の落合恵美子先生の論文「近代世界の転換と家族変動の論理」を示します。そこでは、第1の出生率低下を「第1の近代」、第2の出生率低下を「第2の近代」と呼び、欧米では約50年出生率が安定している時期に一気に主婦化が進んだ後、第2の近代が始まり、今度は“脱主婦化”になったそう。

一方、日本は高度経済成長期の後に黄金期が20年程度あり、そこで税や社会保障、幼稚園・学校システム、雇用慣行などが進められ、「そのときの前提がいまだに残っている」と中野さんは指摘。ちなみに、アジアは完全に主婦化を進める前に脱主婦化され、中野さん曰く、「専業主婦を前提にした仕組みまでできる時間がなかった」とのこと。

堀は、会社員の夫に専業主婦の妻、そして2人の子どもという、国が定めた標準家庭をモデルとして日本の社会制度は作られていると指摘し、「そこが変わってきたということですね」と確認すると、中野さんは肯定しつつ、「それは少しずつ変わっていかざるを得ないし、変わっていくべきだと思う」と主張。

さらに堀は、時代に対応していくにはどうするべきかを問います。すると、中野さんは「社会通念はもちろんですけど、やっぱり制度が……」と言い、「いろいろな制度的法律、税制、社会保障も変えていく必要がある」
と改めて訴えていました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~7:59 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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