2020年の年頭に、次の10年のきっかけを掴むためにやっておきたい”おすすめアクション”5選

新しい10年の区切りを迎えるにあたって、これほど多くの人が、ぼんやりとですが、一律に“不安”を抱いているのは、かつてないことかもしれません。しかも”不安”と言っても、「何か良くないことが起こりそうだ」という明確な恐怖というよりは、「いったい、この先どうなるんだろう?」というような「先が見えない」「得体が知れない」ということへの”不安”だから余計に厄介です。
思えば10年前の2010年は、リーマンショック後で大変だったとはいえ、ある意味”想定の範囲の不安感”ではありました。しかしその直後に起こった東日本大震災から先、想像だにしない変化に巻き込まれて、今にいたります。そのさらに10年前の2000年は、世紀末の終焉というSF的な不安感を乗り越え、むしろ新しい世紀の幕開けを希望を持って迎えた記憶が強く残っています。

そういう意味でも、今回の新しい10年は、特殊なのかもしれません。

AIやゲノムと言ったかつてない技術革新も、その一つの要因でしょうし、同時に社会的な価値観も大きく変化し、さらには大規模な気候変動なども起こる、いわば”グランドクロス”的な変化の重複が、社会全体に重くのしかかっているからでしょうか。正直、誰にもどうなるかわからないし、計画やスケジュールなんて毛頭無理。もう考えても仕方がないと開き直るしかないくらいです。
とはいえ、今生きている我々は、そんな中でもなんとかうまくやっていくしかありません。
そんな状況の入り口となる2020年の年初にいる私達が、少しでもより良い人生への糸口を掴めるアクションはないものでしょうか?思いつくままに上げてみました。

①地図を手に入れる

前述の通り、大きな変化が重なるのは確かですが、冷静に考えると、その変化の全貌について、すでにかなり多く語られてきているのも事実です。
まずは大局観を持って、その変化の姿をもう一度しっかりと把握することが不可欠でしょう。未知のジャングルに入るには、やはり地図とコンパスが必須です。
それらは、インターネットのあちこちから拾い集めるよりも、様々な知識人やオピニオンリーダーたちの意見がまとまった書籍が最も頼りになりそうです。
昨年の終わりに出版された、落合陽一さんの「2030年の世界地図帳〜あたらしい経済とSDGs、未来への展望」は、非常に読み応えがありました。

とにかく、落合さんの知見の広さには驚愕です。しかもその分析も緻密で、同時に図式も多用し、わかりやすく説明されている良著です。それ以上に特筆すべき点は、安易な悲観に走っていないことです。やはり若さがその原動力なのでしょうか。カオスをひとつづつ丁寧に紐解き、投げ出すことなく丁寧に探る姿勢には、非常に強い共感と心地よさを感じました。
2030年に向けて、世界規模のわかりやすくも緻密な地図を与えてくれます。
この人、やはり只者ではないようです。

②自分の武器を探る

このカオスの中で生き残るためには、やはり”自分自身の武器”が欲しいですね。魔法の杖はのぞみませんが、自分の強みを見極め、研ぎ澄ましておきたいものです。
そんな我々に、まさにその言葉通りの助けになる名著があります。
それは、瀧本哲史さんの「僕は君たちに武器を配りたい」(エッセンシャル版)です。

瀧本さんは、マッキンゼーのコンサルタントから、起業家、投資家、京大の客員教授と、その溢れんばかりの才能を発揮していた矢先に47歳という若さで他界された、ある意味伝説の人物です。これからの社会を生き抜くには「スペシャリティ」を体得する必要があり、その方向性は、マーケター/イノベーター/リーダー/投資家の4つしかないと喝破しています。野心に溢れながらもシンプルで力強い瀧本さんの言葉は、自分ならではの武器を探り、研ぎ澄ます勇気を与えてくれます。常にカバンに潜ませておきたい人には、文庫本サイズの”エッセンシャル版”がおすすめです。

③情報の入手ルートを変える

テレビや新聞、雑誌などは、すでに新しい時代への不安や悲観で溢れています。
今まで次代を見据えてきた論者たちも、その方向性を見いだせていないようです。もっと言えば、こうした既存メディアは、「不安や悲観」を語るほうが売れるもの。
全部が全部そうだとはいいませんが、そういう意味で、既存メディアはあまりあてにはなりません。
前述のような、書籍には頼れるものがあります。
それ以外で言えば、少し極端ですが、YouTUBEは、他とは違う気がします。
もちろん、他のネット情報と同じく、玉石混交度合いは半端ないのですが、個人が自由に発信できるという意味では、書籍に近いものがあります。
しかも、従来のブログなどよりも波及効果が高く、収益にもなるので、もともとの自力のある個人はもちろん、各方面からの実力者がなだれ込んでいるのも、急速に価値が高まっている要因でしょう。
少なくとも、今ここに集まりはじめている人たちは、時代に対応しライフ・シフトを遂げようとアクションを起こしている人たちです。その熱量や姿勢そのものに、多くのヒントが溢れています。

その様子は、こちらの【コラム】次に世の中を席巻する”SNS”が見えてきた。でも書きましたので是非ご一読いただければと思います。

④次に住むなら何処がいいかを妄想する

今までは、都会が圧倒的に魅力があり、有利でもありました。それが急速に崩れていることは疑いの余地はないでしょう。
情報も買い物も、人との出会いまでもがインターネット経由になってきているからです。
それでも日本では都市部への人口流入が止まらない。これはやはり「仕事」があるからでしょう。
しかし、その仕事も徐々に、ネット経由になりつつあります。もちろん全てではないですが、状況は更に変化していくはずです。

同時に、ここ数年、年に何度も激甚災害が発生する時代を迎えてしまった日本。先日NHKでも1週間に渡って特集していた「首都直下型地震」は、「30年以内に70%の確率で起こる」とまで言われています。
それだけではなく、南海トラフや東海大地震など、日本どこでもそうしたリスクは避けようがありません。

こうした状況を考えると、今は現実味がなくとも、あるいは望むか望まざるかはともかく、私達誰もが、次の10年に「移住する」可能性は結構高いのではないでしょうか?

それを具体的に考えるまでいかなくとも、「もし移住するとしたら、自分にとっては何処がいいのか?」と妄想を巡らせておくのも悪くないかもしれません。
更にできれば、その”候補地”は、複数あったほうがよりいいかもしれませんね。日本各地の移住サイトをまとめた記事「おすすめの移住サイト42道府県分まとめ!」もこちらにありますので参考にしてみてください。

自分の出身地や縁戚・地縁、好きな場所、好きなことができる場所、旅行で言って印象に残っている土地、仕事で地の利がある場所・・・などなど。なんでもいいんです。
そしてできれば、近い内になにか理由をつけて、その地を訪れてみるのもいいでしょう。そういう思いを抱いて訪れると、また違って見えるかもしれません。

⑤今までに一度もやったことのないことをやってみる

最後に、こうした準備をしても実際に大きなアクションをとれるかは別です。誰しもが、いきなり大きな行動を取るのは勇気がいるし、なかなか踏み出せないものです。しかし、次の10年、特に何もしなくていいということはほぼ無いと考えて良さそうです。これだけの変化に対応するには、それぞれがやはり「思い切った行動」をとる場面を迎えるはず。そのときに動けるようにするためには、どんな小さなことでもいいので、今までに一度もやったことのないことを、やってみることを強くおすすめします。

今までこれと言って個人で情報発信をしてこなかった人は、SNSやブログをやるとか。そこまで思い切ってできたら、素晴らしいですね。
それほどでなくても、行ったことのないところに足を運ぶとか、食べたことのないものを食べるとか、そんな他愛もないことでもいいと思います。
大事なのは「よし、やったことのないことをやるぞ」と思って行動することです。
その結果は、多くの場合、うまく行かなかったり、大したことなかったりするでしょう。しかし、それでも十分意味があります。なぜなら、大きな行動の障害になるのは、多くの場合は自分自信の”躊躇する気持ち”だからです。小さくてもその障害に慣れておくと、大きな行動にも踏み出しやすくなるのではないか…と自分は思います。

いかがでしょうか? いずれにせよ、2020年は今を生きる誰もが迎える転機の入り口のような気がしてなりません。多かれ少なかれ、勇気を持って決心する場面を迎える可能性がありそうです。そんななかで開催されるオリンピックには、勇気を補充するいい機会になりそうです。タイミング的に非常にラッキーですね。楽しみながらも、どこか冷静な気持ちを持っておきたいものです。

その後の日常に戻ったあと、もちろんそれを待たなくてもいいんですが、それぞれがそれぞれの考えのもとに、”動き出す”必要があるような気がします。

文:ネイティブ倉重

【著者】ネイティブ株式会社 代表取締役 倉重 宜弘(くらしげ よしひろ)
愛知県出身。早稲田大学 第一文学部 社会学専修 卒業。金融系シンクタンクを経て、2000年よりデジタルマーケティング専門ベンチャーに創業期から参画。大手企業のデジタルマーケティングや、ブランディング戦略、サイトやコンテンツの企画・プロデュースに数多く携わる。関連会社役員・事業部長を歴任し、2012年より地域の観光振興やブランディングを目的としたメディア開発などを多数経験。2016年3月にネイティブ株式会社を起業して独立。2018年7月創設の一般社団法人 全国道の駅支援機構の理事長を兼務。

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