小学校休校から2年 槻木を守れ、住民再出発 多良木町

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 過疎化が進む多良木町槻木[つきぎ]地区で、移住者によって再開した小学校が再び休校して2年が過ぎた。地区では、学校に代わって住民が集える場を確保する取り組みが続く。この2年間、子どもがいなくなっていた地区で赤ちゃんが生まれるなど明るい話題もある。

 槻木地区は人口約110人。町による振興策で2013年に集落支援員一家が福岡から移住し、14年春には槻木小が7年ぶりに再開した。集落に活気が生まれたが、町長交代による振興策見直しに伴い一家は槻木を離れ、小学校は17年夏に再び休校となった。

 

介護予防体操などに取り組む槻木地区の「希望いきいき学校」=多良木町

 支援員が住んでいた槻木小敷地内の町営住宅は、老朽化した診療所の移転先として19年4月から活用されている。校舎では、地区の高齢者が参加する「希望いきいき学校」が月2回開かれている。介護予防体操や、外部講師らによる音楽や書道の“授業”などもしている。

 学校運営の中心を担うのは、槻木を離れた支援員の後任を務める地元出身の中村悦朗さん(57)。行事や診療所への送迎も担当している。中村さんは「地区に20人ほどいる1人暮らしの方の見守りなどに気を配っている。車を運転できない高齢者の足を確保するのも大切だ」と話す。

 子どもがいなくなっていた槻木地区だったが、熊本市から16年に移住してきた遠藤眞一郎さん(35)、知世さん(35)夫妻に19年5月、長女和[にこ]ちゃんが誕生した。将来、小学校の再開につながる可能性もある。「地元の人たちが娘を抱っこしてくれ、交流がさらに深まった。地域から温かく見守ってもらっている」と遠藤さん夫妻。

5月に長女和ちゃんが誕生した遠藤眞一郎さん、知世さん夫妻=多良木町

 住民の黒木ツル子さん(84)も「いきいき学校のような地域の皆さんと会える機会を楽しみにしている。参加できるのも送迎してくれる支援員のおかげ。和ちゃんにも元気をもらっている」と感謝する。

 集落の維持には、特産品などによる地域おこしも鍵を握る。遠藤さんは、地区でイタリアンレストランを開いており、シカやイノシシのジビエ料理も提供している。本年度からは、地元産ジビエのブランド化などを目指して住民による協議会も立ち上がった。遠藤さんは「ジビエをきっかけに槻木の暮らしに興味を持ってもらい、交流人口や移住定住の増加につなげたい」と意欲的だ。(園田琢磨)

熊本日日新聞 2020年1月1日掲載