くらしびと <その12> たどりついた 平穏な暮らし 自らを見つめる静なる幸せ

転勤族だった佐藤幸義さん一家は、九州から東京まで社宅を転々としてきました。定年を間際に控えた9年前、第二の人生を送る土地を探し、美しい自然に魅力を感じた湖西の萩の浜に家を建てました。集合住宅暮らしが続き、いつも自然が恋しかったという公子さんの願いを叶え、ようやく根を下ろした暮らしが始まりました。

すぐそばにある萩の浜から見る薄墨色の対岸、真っ赤な太陽が湖から昇る様、大好きな虫の音や愛らしい野の花たち。庭や家の回りの自然に日々感動があるという公子さん。

 若い頃は忙しく、寝るためだけに帰る日々だった幸義さんは、何者にも縛られない今の“自由”が何より心地良いとのこと。公子さんは、茶道・表千家の師範として自宅教室を開きました。夫婦以外に知り合いのいない土地での暮らしに寂しさはなかったのか、との問いに、茶の湯の精神である“和敬静寂”―思いやりをもって人と接し、ないものを強く求める貪欲さを捨てた清浄な心で、周りに左右されず、今ある“足る”を知ることで身近な喜びを知ることができる―。「茶道を通して、静かに自分の心と向き合って生きていきたいんです」と微笑む公子さん。
 “幸せ”とは、実はとても身近にあり、それは考え方一つで誰もが手にすることができるものなのでは。そんな温かな思いがこみ上げる出会いでした。

庭に咲いた秋明菊を飾って 季節感を大切にした 茶道の精神にも通じます
■「お茶会」情報

和やかな一時をご一緒に。

「お茶会」を年に6回(2014年は奇数月の最後の日曜日・点心付きのお茶会は年に3回)開催。服装は自由で「葦笛の演奏を披露することも。どなたでもお気軽にお越しください」とのこと。

参加費用は実費のみ/お茶会のみ 700円
          点心付き  1,500円

お問い合わせ:佐藤公子さんの茶道教室

   高島市勝野 TEL:0740-36-2705

■情報誌「自悠時間」掲載2013年12月

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