「人生最大の買い物を人生最大の荷物にしない」 長崎県内工務店など共同 定期的に点検改修 『オリガミプロジェクト』

オリガミプロジェクトに取り組む嶋崎氏(右)と伊佐氏=長崎市御船蔵町、西部ガス

 新築住宅が数十年で資産価値ゼロになってしまう-。そんな現実が空き家の増加に拍車を掛けているとして、長崎県内の工務店などが共同で、定期的なメンテナンスやリフォームを行う事業を始めた。独自の認定制度で資産価値を保証する。優遇措置として無担保ローンも導入。「人生最大の買い物を人生最大の荷物にしない」とPRし、長崎の街並み維持につなげようとしている。

 事業名は「オリガミプロジェクト」。「長寿の折り紙付き」との意味を込め、ロゴマークや認定マークに折り鶴をデザインした。
 実施主体は「ながさき住まい価値向上促進協会」(会長・嶋崎浩樹=嶋崎工務店代表取締役)。建築や不動産鑑定など9社と西部ガスで構成し、たちばな信用金庫などの金融機関が協力する。中古・リフォーム市場の発展を目的とした国土交通省の補助も活用。地場で連携し、大手ハウスメーカーに対抗する。
 対象は離島など一部を除く県内で、新築または平成元年以降に建築した一戸建て住宅。既存住宅の場合、利用希望者から相談を受けると、会員事業者が協会独自の品質評価基準に照らして痛み具合をチェック。基準を満たすためのリフォームを提案し、実施後に認定する。専用の無担保住宅ローン(借入期間最長25年、融資額最高1500万円)も契約可能。以降5年おきに点検し、必要に応じてメンテナスやリフォームを行い、資産価値が下がるのを抑える。
 嶋崎会長は「家は手を入れるほど長く住める。雨漏りしてからでは価値が目減りするので、痛みを早期発見することが大切」と指摘する。
 同協会によると、住宅は改修しても市場では築年数で評価されやすい。買い手が見つからない場合、取り壊し費用がかさむため放置される、という悪循環もある。特に坂の街、長崎市ではそれが顕著だ。
 嶋崎会長は「人が長く住める家が増えれば、その街並みや文化を守れる」と強調。同協会事務局の西部ガス長崎営業部長の伊佐英人氏は「地域に根差したエネルギー会社として貢献したい」と述べた。
 問い合わせは、住まい価値設計(電0957.47.5566)へ。ホームページはhttps://www.origami-p.com/

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