中村さん最高賞 高校生絵のまち尾道四季展

中村さんの受賞作「漁の香」(絵のまち尾道四季展実行委提供)

 広島県尾道市で開かれている高校生対象の絵画公募展「第10回高校生絵のまち尾道四季展」で、長崎県立波佐見高美術工芸科の1年生、中村青空さん(16)が最高賞の「尾道賞」に選ばれた。副賞として、春休みにフランスの美術館などを巡る研修旅行が贈られる。
 市や市立大などでつくる実行委が隔年で開いている。全国の高校生を対象に尾道の風景、風俗、祭りなどを題材とした絵画を募集。284点の応募があり、尾道賞には中村さんを含む10点が選ばれた。入賞、入選作計150点は13日まで、市立大美術館などで展示している。
 中村さんの受賞作「漁の香(か)」は、尾道市の名物「干しだこ」を題材にした油彩画。家族旅行で訪れた際に「港が多く、住んでいる佐世保と似た雰囲気」が印象に残っていた。公募展を前に調べるとタコ漁が盛んだと知り、「形が面白く、人と海のつながりも描けそう」と思い立った。干されたタコが陽光を受け、透き通る様子を、青を用いた大胆な色使いで描出。手前に大きな手を配し、海とともに生きる人々の営みやぬくもりを表現した。
 作品のイメージを決定付ける「手」は、同居する祖母にモデルになってもらった。制作期間は2~3週間程度と慌ただしかったが、締め切りぎりぎりまで粘り、「絵を提出する時に、名残惜しくて泣いてしまった」ほど思い入れの強い作品に仕上がった。
 提出から数週間後に届いた分厚い封筒には、受賞結果と研修旅行のパンフレットが入っていた。「自分でも気に入った作品が認められてうれしい。フランスの歴史や建物、文化に触れるのが楽しみ」と喜びを口にしつつ、早くも次の公募展に向けた創作に取り組む。「見た後に生活の見方が変わるような、誰にもまねできない作品を創りたい」と意欲を燃やしていた。
 尾道四季展では、同校1年の松田ゆずはさん(16)も入選した。

「誰にもまねできない作品を創りたい」と話す中村さん=波佐見高

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