平和願う風船 200キロ先から「届いたよ」 平戸・南部中 新たな交流に期待

メッセージカードを添えた風船を飛ばす生徒ら=2019年12月10日、平戸市内

 平戸市立南部中(森健治校長、91人)の全校生徒らが昨年末、人権尊重を願って空に放った風船約150個のうちの一つが、約200キロ離れた福岡県苅田町に到着し、風船を拾った女性から同校にお礼のメールが届いた。風船には生徒がつづったメッセージカードとヒマワリの種が付いており、女性は「見つけた母が喜んでいる」と風船の写真も添付。初めて取り組んだ2017年にも拾った人から返信があっており、学校側は新たな交流が広がればと期待している。
 同校の人権集会の一環として12月10日、市多目的研修センターグラウンドから生徒名とメッセージ、「共に生きよう」との願いを込めたヒマワリの種を風船に付けて飛ばした。このうち、3年の遠矢教悟さん(15)が「世界が平和になりますように」とカードに書いた風船が翌11日夜、苅田町の増田美暢(みのぶ)さん方の庭に着いた。花好きで以前ユリなどを育てていた増田さんの70代の母親が見つけた。
 「こんなに遠くまで風船が飛んできたことを伝えたかった」という増田さんは早速、同校にメール。これに対し、学校側が「ヒマワリの種、育てていただけたらうれしいです」との遠矢さんのメッセージを添え返信したところ、増田さんからは再び「ぜひ植えて育てます。人権尊重と世界の平和を願って」とメールが寄せられた。
 感激した遠矢さんは同26日、今度は「世界がもっと平和になってほしい、とたくさんの人に思ってもらいたい。一緒に飛ばしたヒマワリの種はその思いが詰まったものです」と書いた手紙を送った。「遠い場所に住む人からの返事がうれしかった」と言う。
 年が明け、10日に増田さんから遠矢さんに届いた返事の手紙には「希望を持ちうれしそうに風船を見ていたのだろう、と想像できるいいお手紙で感動しました」などと記されていた。増田さんは取材に「穏やかな学校の雰囲気が伝わりうれしかった。文通などを通じ、交流を続けたい」と話し、ヒマワリの種も今後自宅の庭に植えたいとしている。
 17年に飛ばした風船の一つは鹿児島県の男児に拾われ、同校と手紙で交流が続いた。男児が今春、小学校を卒業することから、生徒らは3月、祝いのメッセージを自分たちの写真とともに送る予定だ。

遠矢さん(左)と女性から届いた風船の写真を手にする人権集会実行委員長の針尾将紀さん=平戸市、南部中

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