廣中快走 5年連続区間賞 東京五輪出場へ弾み

第1中継所。長崎の1区廣中(日本郵政グループ、右)が2区森(積水化学)へトップでたすきリレー=京都市

 1年ぶりに長崎のユニホームで走れるのが「すごく楽しみだった」。事前の準備段階から不安もあったが、自らを信じて1区で流れをつくる。たすきに勢いをつける。「それが長崎に恩返しするということ」。廣中(日本郵政グループ)はそんな喜びと感謝、思いを6キロで表現した。気がつくと、5年連続区間賞、17年ぶりの区間新を達成していた。
 昨春、長崎商高を卒業。超高校級の走りで長距離界を盛り上げた少女は、実業団1年目にして日本のトップクラスに名乗りを上げた。昨年11月の全日本実業団女子駅伝1区(7キロ)で区間新をマーク。12月には5000メートルで東京五輪の参加標準記録を切った。
 その後、楽しみにしてきたこの駅伝までの約1カ月間は、練習内容が自らの求めるレベルに届かずに「不安の方が大きかった」。それでも、懐かしい長崎チームに合流すると、力が湧いた。
 「今できる最大限を発揮しよう」とスタート。時計をつけずに、前だけを見て、最初から自分のペースで集団の先頭に立った。3キロ付近からは徐々に後続を引き離して独走。チームは入賞に届かなかったが、自らの思いは出し切った。いい感覚で走れた。
 東京五輪イヤーの最初の大会は、大きな弾みがつくレースになった。これから照準を合わせていくのは、3位以内に入れれば五輪出場が確実になる6月の日本選手権だ。「一段一段、階段を上っていきながら、そこへ向けて調子を合わせていきたい」。その先にある最高の舞台は、もう夢ではなく、現実的な目標になった。

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