不登校、海外留学の経験経て 「悩み抱える子どもたちを社会とつなげたい」 スクールソーシャルワーカー目指す 奥村さん

「悩みを抱える子どもや障害のある子どもたちを社会とつなげたい」と話す奥村さん=長崎市内

 1月13日は「成人の日」。長崎県内では新成人約1万3400人が自分の夢に向かって新たな一歩を踏み出す。長崎国際大1年の奥村美月さん(19)は高校時代に不登校となったが、「環境を変えたい」と決意し海外に留学。自らの経験を踏まえ、現在はスクールソーシャルワーカーになることを目指し、福祉分野の勉強に励む。

 「明日は学校に行こう」。そう思うと夜眠れず、朝は学校に行く気持ちが起きなくなった。
 当時、進学校の県立高2年生だった奥村さんは1学期の途中、1年次の友人とクラスが分かれたことや、課題の量が増え自由な時間が無くなったことなどが重なり、学校が楽しくないと感じ始めていた。ただ、今振り返っても「不登校になった明確な理由は分からない」と話す。
 先生も家族も学校に行くことを強いた。昼夜逆転した生活を送り、家族とも極力話さなくなった。自分の部屋だけが唯一の居場所だった。
 8月末、体育祭の練習があるのをきっかけに少しずつ学校に行けるようになった。しかし10月の中間テストで思うような成績が取れず、勉強をする理由が分からなくなり、テスト後は再び不登校となった。
 「自分を知っている人がいない場所に行きたい」。海外留学を考えるようになったのは冬休みの頃。最初は家族も反対した。だが「環境を変えたい」という強い意志や、留学先について調べたことを伝えると両親も理解を示してくれた。翌2017年2月にニュージーランドの高校に入学した。
 言葉の壁にぶつかったが、3カ月後には少しずつ英語が聞き取れるようになった。個性豊かな学生に囲まれ、自由な校風の中、楽しく2年間の学校生活を送った。
 ある日、先生に「英語で『不登校』ってなんて言うの?」と聞いてみた。すると「そんな言葉は無い。ただ学校に行っていないだけ、好きなことをしているならそれでいいじゃない」との答えが返ってきた。驚いたのと同時に「これでいいんだ」と思い、心が軽くなった。
 「留学の経験は多くのことを学ぶ機会を与えてくれた」と両親に感謝の言葉を口にする。現在は長崎国際大人間社会学部で福祉分野の勉強に励んでいる。「悩みを抱える子どもや、障害のある子どもにいろんな選択肢を紹介し、社会とつなげる役割を担う大人になりたい」と将来を見据える。

 


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