豪雨被災の対馬・佐護地区 「大般若様」に触れ御利益を 一年の安全と健康願う

経本を繰ってもらい、地域の安全などを祈る住民=対馬市、佐護観音堂

 昨年9月の豪雨で大きな被害を受けた対馬市上県町の佐護地区で11日、年始めの伝統行事「大般若(だいはんにゃ)様」があり、地域住民が大般若経の経本を体に当ててもらい、家内安全などを祈った。
 経本を体に当ててもらうことで御利益を授かるという祭礼。佐護地区の恵古(えこ)、仁田の内、深山(みやま)の3集落の代表計6人が、深山にある瑞雲(ずいうん)寺の大般若経の経本を100巻ずつ背負って約1.5キロ離れた恵古の佐護観音堂まで歩いて運んだ。
 佐護観音堂では、瑞雲寺住職代務者の坂田全宥(ぜんゆう)・円明寺住職(99)が読経し、経本を扇のように繰りながら参拝した地域住民約20人の頭や肩に当てておはらいをし、経本は再び瑞雲寺に運ばれた。祭礼後、坂田住職は「昨年は(豪雨など)天変地異が襲った1年だった。今年はすべての者が繁栄するよう祈った」、深山集落の緒方成幸区長(51)は「水害のない平穏な年となるよう願いました」と話した。
 対馬市によると、佐護地区では、昨年9月の台風17号接近に伴う豪雨で、佐護川が氾濫するなどして52棟が床上浸水、38棟が床下浸水した。

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