新劇場関連2億円 前年度の約7倍 横浜市、20年度予算計上へ

横浜市役所

 横浜市が新たな劇場整備の関連費として、2020年度当初予算案に2億円を計上することが14日、分かった。整備を巡っては、検討委員会が「事業計画の議論が不十分」として、異例の継続審議を決定。市会から「整備ありきで進めるべきではない」とくぎを刺されてもいる。にもかかわらず、前年度の約7倍の予算を投じ、林文子市長が強い意欲を示す劇場整備を前に進めようとする市の姿勢に、市議や市民が反発するのは必至だ。

 市長は神奈川新聞社の年頭インタビューで、市が結論を出す時期について「テンポから言えば、20年度末では遅い」と答え、早期整備に改めて強い意欲を示した。

 関係者によると、2億円は基本計画の策定や管理・運営に関する調査などに充てられる。加えて、舞台芸術の振興や文化芸術による都心臨海部活性化検討費として、1億円が計上される見通し。

 新たな劇場構想は17年夏の市長選直後、文化観光事業の促進策の一つとして、市長が掲げた。

 市は18年度当初予算案に、調査費名目で初めて1千万円を計上。19年度は3倍の3千万円を確保し、有識者らによる検討委を立ち上げた。

 検討委は昨年6月から11月まで計6回、会合を開いて協議。「整備を推進すべき」とする一次提言をまとめた。ただ市は、建設や運営に多額の公費が投入されるにもかかわらず、会合で試算さえ示さなかった。検討委は計画の概要や管理運営を「さらに検討し、事業計画の見通しを立案すべき」と結論づけ、6回で終了する当初予定を変更。あまり例のない継続審議を決めた。

 市会からも市の進め方に批判や疑問が噴出している。昨年12月16日に開かれた市会政策・総務・財政委員会で、市議の1人は、市がカジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致の理由に挙げる厳しい財政見通しとの矛盾を指摘し、「バレエやオペラだとお金の話はそっちのけ。(検討委の一次提言の)都合の良い所だけつまみ食いするのは許されない」とけん制。他の市議からも、十分な説明や検討を求める意見が相次いだ。

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