空調機ドレンパン遠隔点検の有効性を検証

2020年1月16日
地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター

空調機ドレンパン遠隔点検の有効性を検証
~検証結果を「第47回建築物環境衛生管理全国大会」で共同発表~

地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター(都産技研)とダイキン工業株式会社(ダイキン工業)は、共同研究により空調機ドレンパンの微生物数と、ドレンパンに設置した無線通信可能なカメラで遠隔取得した画像による見た目の変化をモニターし、カメラ画像によるドレンパン点検の可能性を検証しました。
※ドレンパン:昨今のオフィスビルで多く採用されている個別分散型空調機の室内機内部に装備されている熱交換器から出た結露水(ドレン水)を受けるトレー

◆共同研究の概要◆

「建築物衛生法(略称)」 では、病原体による居室内部の空気汚染を防止するための措置として、'空調機ドレンパンの汚れ・閉塞の状況の点検'及び'必要に応じた清掃'を義務付けていますが、空調機が個別に分散しているため数が多く、点検作業は非常に煩雑です(図1)。そこで、ダイキン工業は'点検のやりにくさ'の問題を解決する手段として、空調機内部に無線通信可能なカメラを設置し、クラウドサーバーにドレンパン画像(図2)を送付するシステムを構築しました。都産技研は、ドレンパン画像での汚れ具合と微生物の繁殖状況(菌数及び菌種)との関連性の有無について微生物評価を実施しました。これにより、微生物の繁殖状況とドレンパン画像での汚れ具合は空調機の設置環境によって異なることが明らかになり、カメラ画像による遠隔点検の重要性が確認できました。

2019年10月1日にダイキン工業が販売開始
ドレンパン遠隔点検サービス~IoT 活用でビル管理の省人化へ~
「Kireiウォッチ(キレイウォッチ)」

図1 ドレンパン点検の現状

図2 遠隔撮影したドレンパン画像

◆研究成果から期待される中小企業への波及効果◆

中小サービス事業者への波及効果

・ドレンパンを適切な時期に清掃可能となり、ビル、店舗などの室内環境向上により企業価値向上につながる。
・ビルメンテナンス事業者の設備点検に係る作業の大幅な負担軽減、省人化で点検コストの軽減が見込める。

中小ものづくり企業への波及効果

ドレンパンの微生物汚染の実態から、菌の繁殖しにくい新たなドレンパンの開発や添加薬剤の開発など中小ものづくり企業に対する新たな市場の提供につながる。

第47回建築物環境衛生管理全国大会

会期 2020年1月23日(木)~1月24日(金)
会場 日本教育会館一ツ橋ホール
入場料 無料 ※事前の参加予約は必要ありません
主催 (公財)日本建築衛生管理教育センター
発表者 近藤 純史 氏(ダイキン工業株式会社)