伝統つなぐ意気披露 三浦・川崎・横須賀の児童ら こども民俗芸能フェス

 県内各地で受け継がれている民俗芸能を子どもたちが披露する「かながわこども民俗芸能フェスティバル〜れとろびーと2016」が10日、横浜市西区の県立青少年センターで開かれた。出演したのは、三浦いなりっこ保存会(三浦市)、平間わんぱく少年団(川崎市)、浦賀虎踊り保存会(横須賀市)の児童。神楽や和太鼓、舞踊を上演し、日ごろの稽古の成果を披露した。

 かながわ伝統芸能祭実行委員会が主催。県内各地の民俗芸能のうち、特に子どもたちが活躍している3団体の演目を紹介し、広く知ってもらう狙いで開かれた。

 三浦いなりっこは、家内・海上安全や豊漁を祈願する神楽。1960年代前半に衰退したが、73年に復活し、「保存会」が伝承している。面神楽の愉快な動きが観客の笑いを誘った。

 平間わんぱく少年団は、民俗芸能の継承と発表を目的に、36年前に発足。勇壮な和太鼓や扇子を使った踊りなどを元気に繰り広げた。

 浦賀の虎踊りは国選択・県指定の無形民俗文化財で、近松門左衛門の人形浄瑠璃を基にした虎狩りの物語。曲芸のような虎の動きに喚声が上がった。主役の和藤内(わとうない)を演じた男児(10)は「始めてから2年、同じ姿勢を続けるのが大変」と話す。指導者で自らも主役や虎を演じた経験のある父(40)は「今日は私の父がお囃子(はやし)で、娘も踊りで出演している。親子3代で和気あいあいと伝統を守りたい」と笑顔でわが子を見つめていた。

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