発券方法は夢を書いて撮影 ユニークな条件のJR大船駅「大船合格応援きっぷ」が人気

「駅として、頑張る人たちに応援がしたい」と話す、きっぷを考案した駅員ら=JR大船駅

 受験生ら夢に向かい頑張る人を応援しようと、JR大船駅駅員が考案した「大船合格応援きっぷ」が人気を呼んでいる。入手するために県外から足を運ぶ客もいるといい、週末のセンター試験を前に、企画した駅員らは「大船(おおぶね)に乗った気持ちで、合格をつかんで」とエールを送る。

 “発券”のためには、JR大船駅南改札口のそばに設置された切符型のホワイトボードに目標や夢を書き、スマートフォンで撮影して駅員に提示する。応援きっぷを知ったきっかけなどに関するアンケートに回答すると、「大船発合格行き 諦めない限り有効」などと書かれた駅オリジナルの硬券(縦3センチ、横5.75センチ)がもらえる。硬券は昭和期に使われていた切符の素材や大きさを再現しているという。

 アイデアを出した同駅営業指導係の金沢諒さん(30)は「受験生は勉強で大変な時期。友達や家族との楽しい会話のきっかけや、いつか振り返った際、大船駅が思い出の場所になればと考えた」と話す。

 12月から配布を始め、これまでに受け取った人は約650人。受験の合格祈願が大半を占めるが「部活の大会で優勝を」「起業が軌道に乗るように」など願い事はさまざまだ。受験生の親、祖父母ら幅広い年齢層が訪れており、同係の中野健一さん(35)は「手渡す際、『子どもが今度受験です』などと会話ができることがうれしい」と喜ぶ。

 ツイッターや駅のポスターなどを通じて広まり、都内や栃木県など遠方から足を運んできっぷを受け取る人も。思わぬ反響に驚きつつ、金沢さんらは「夢に向かって頑張る人たちのお守りになれば」と2月末までの間、きっぷがなくなるまで配布を続けるという。

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