令和初の歌会始の儀 祇園中教員・柴山さん「最高の励ましもらった」  今年で教員生活最後 教え子家族の絆詠む

 皇居・宮殿で16日開かれた「歌会始の儀」に一般入選者の一人として招かれた佐世保市立祇園中教員、柴山与志朗(よしろう)さん(60)=北松佐々町=は儀式の後、「教員生活の最後に最高の励ましをもらった」と、入選と参列の喜びを語った。

 今年の題は「望」。漁師町だった初任校で生徒らがうれしそうに話していた場面を思い出し、〈望(もち)の日は漁師の父が家にゐて家族四人で夕餉(ゆうげ)を囲む〉と詠んだ。「望の日」とは満月の日。明るい満月の夜は、集魚灯に魚が集まらないため、漁ができない。父親が家にいて、家族そろって食卓を囲むことができる。新任教師だった若き日に、温かな家族の絆に触れた瞬間を思い出し、歌にしたという。
 儀式後に宮内庁で開かれた記者会見で、柴山さんは「天皇陛下から『良い歌ですね』とお言葉を頂きました。『今年で教員生活最後なんです。最初の生徒との思い出で歌を作りました』と話すと、皇后さまは『教科は何を教えているんですか』と聞かれたので、『国語です』と答えました」と話した。
 言葉の力と、作品を人に読んでもらうことの大切さを子どもたちに伝えようと、授業を通して短歌作りを指導してきた柴山さん。その一環として毎年、生徒らと共に歌会始の「題」で短歌を作り、応募している。2年前には、入選した教え子の引率者として参列。今回は自身が入選者となり、自作の歌が詠み上げられた。

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